2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520257
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
西山 佑司 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 教授 (90051747)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小屋 逸樹 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (80234904)
熊本 千明 佐賀大学, 文化教育学部, 助教授 (10153355)
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Keywords | 存在文 / 絶対存在文 / 場所存在文 / リスト存在文 / 帰属存在文 / コピュラ文 / 変項名詞句 / 集合 |
Research Abstract |
本研究の目的は、存在文の意味論と語用論の観点から分析し、この構文が単純な形式であるにもかかわらず、きわめて豊かで多様な意味構造を有していることを明らかにすると同時に存在文とコピュラ文の関係を解明することにある。本年度は、名詞句およびコピュラ文に関するこれらまでの研究成果を整理し、それを手掛かりに存在文のもつ多様な意味と情報構造の分析を試みた。 熊本(2005a)は、リスト存在文と絶対存在文、そして指定コピュラ文との間の相互関連を検討し、西山が提唱している「変項名詞句」という概念がこの関係の解明に決定的に効いていることを英語のデータによって論証した.熊本(2005b)は、コピュラ文における名詞句の意味機能を、集合と要素、同一指示という外延的な概念で捉えようとする最近の分析にたいして批判的な検討を試みた。 西山(2005)は、「LニSガイル/アル」という形式を有する存在構文について帰属存在文と絶対存在文の曖昧性に注目し、次の2点を明らかにした。(i)LがLと語用論的に関連している個物の集合を表すばあいは、Lは意味論的には場所辞ではない。もしSが変項名詞句であり、Lがその変項の値の走る範囲を限定している場合は、絶対存在文の読みが得られる。(ii)LがLと語用論的に関連している個物の集合を表す場合は、Lは意味論的には場所辞ではない。もしSが指示的名詞句であり、Sの指示対象がその集合のメンバーに該当する場合は、帰属存在文の読みが得られる。 小屋(2005)は、日本語やドイツ語を例にして、主格名詞句が二つ現れるコピュラ文の主語性を、指示性と語順という観点から検討した。
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Research Products
(4 results)