2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520257
|
Research Institution | Meikai University |
Principal Investigator |
西山 佑司 明海大学, 外国語学部, 教授 (90051747)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小屋 逸樹 慶應義塾大学, 法学部, 教授 (80234904)
熊本 千明 佐賀大学, 文化教育学部, 教授 (10153355)
|
Keywords | 存在文 / 所有文 / コピュラ文 / 指示的名詞句 / 叙述名詞句 / 変項名詞句 / 定名詞句 / 数量詞 |
Research Abstract |
本研究の目的は、存在文の意味構造を、意味論と語用論の観点から分析し、この構文が単純な形式であるにもかかわらず、きわめて豊かで多様な意味構造を有していることを明らかにすることにある。最終年度である本年度は、名詞句およびコピュラ文に関するこれらまでの研究成果を整理し、それを手掛かりに存在文のもつ多様な意味と情報構造の分析を試みた。 西山(2007)は、変項名詞句という概念が絶対存在文を分析する場合のみならず、(倒置)指定文のようなコピュラ文、変化文、所有文、潜伏疑問文、潜伏命題文など多様な構文の意味構造の深いレベルで関与していることを論じた。そこから、存在文とこれら多様な構文との間には意味構造上、密接なつながりがあることが明らかになった。 小屋(2007)は、「はさみある?」や「私φ祇園の舞妓です」のような無助詞の存在文やコピュラ文に注目し、文を発話することで聞き手に同意を求めたり、意外な情報を通知したりと、聞き手への積極的な働きかけを行うために使用されるこの種の構文の発話行為的性格を検討した。 熊本(2007)はIt-cleft構文のもつ指定性と措定性に注目し、絶対存在文と指定文の接点の問題を論じた。 存在文はコピュラ文と並んで、自然言語の構文のなかでも、最も基本的な構文である。本研究の結果、存在文を正しく分析するためには存在文の主語名詞句が指示的名詞句であるかそれとも変項名詞句であるか、また主語以外の位置に変項名詞句が隠れているかどうかといった名詞句の意味機能の把握が不可決であるということが明らかになった。
|
Research Products
(4 results)