2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520258
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北原 久嗣 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 助教授 (50301495)
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Keywords | 生成文法理論 / ミニマリスト・プログラム / 徹底した派生主義 / 統語システム / 解釈システム |
Research Abstract |
ミニマリスト・プログラムが提供する研究上の指針には、(記述的装置のクラスを最小限にするよう求める)「最小設計」指針、および(演算の操作上の複雑性を縮小するよう求める)「単純計算」指針と呼びうるものがあるが、本研究では、「単純計算」指針に幾分焦点をおき、操作上の複雑性の縮小と言語のミニマリスト的設計の問題を考察する。平成16年度は、これら二つの指針に関係する基本概念および指導仮説(Chomsky 2000,2001)を詳細に検討すると同時に、徹底した派生主義の観点(Epstein, Groat, Kawashima, and Kitahara 1998, Epstein and Seely 2002)から、操作上の複雑性を縮小する提案を再検討した。徹底した派生主義に基づく分析では、統語システムの最終出力を解釈システムの入力とする仮説の問題点が明らかにされた。具体的には、英語の移動現象(NP-移動、Wh-移動)、日本語の移動現象(NP-移動、スクランブリング)に、統語システムの最終出力を解釈システムの入力とする仮説では捉えることのできない統語関係が存在することを確認した。さらに、問題とされた統語関係が、統語構造構築過程のある段階で決定されている事実を重視し、統語関係は、その決定段階において、音声・意味をつかさどる解釈システムに入力されているという仮説を推進した。その結果、統語関係を決定する統語システムとそれに隣接する解釈システムとの関係は、従来の単一レベルの関係ではなく、複数レベルの関係として捉えるべきであるという結論に至った。次年度は、この複数レベルの関係の入力メカニズムを解明することから始める。
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Research Products
(1 results)