2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520258
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
北原 久嗣 慶應義塾大学, 言語文化研究所, 助教授 (50301495)
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Keywords | 生成文法理論 / ミニマリスト・プログラム / 徹底した派生主義 / 統語システム / 解釈システム / 循環的出入力メカニズム |
Research Abstract |
ミニマリスト・プログラムが提供する研究上の指針には、(記述的装置のクラスを最小限にするよう求める)「最小設計」指針、および(演算の操作上の複雑性を縮小するよう求める)「単純計算」指針と呼びうるものがあるが、本研究では、「単純計算」指針に幾分焦点をおき、操作上の複雑性の縮小は言語のミニマリスト的設計を決定する上で最も重要な因子であると想定する。この想定に基づき、まず、操作上の複雑性に関する提案をいくつか検証し、とりわけ、音韻内容に言及する統語分析(Chomsky 2001, Kitahara 2003)を吟味した。さらに、そうして得られた知見を日本語のスクランブリングに敷延し、このタイプの移動に関するメカニズムを明確にするとともに、音韻内容と統語的可視性の関係を精微化した。 さらにこれまでの研究成果を踏まえ、徹底した派生主義の観点(Epstein, Groat, Kawashima, and Kitahara 1998, Epstein and Seely 2002, Kawashima and Kitahara 2003)から、統語システムと解釈システムの関係を再定式化することを試みた。具体的には、統語システムと解釈システムの間に、厳密に規定された小さな単位の出入力関係が循環的に成立していることを経験的に検証し、その概念的根拠を統語システムの最適性という性質から導くことを試みた。次年度はこの小さな単位の循環的出入力メカニズムを解明する作業から始める。
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Research Products
(2 results)