2005 Fiscal Year Annual Research Report
発話リズムの制御と知覚における韻律単位の機能と役割の検証
Project/Area Number |
16520262
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際教養学術院, 助教授 (00329054)
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Keywords | 音声学 / 音韻論 / 心理言語学 / 第二言語習得理論 |
Research Abstract |
日本語話者のリズムの基本単位の検証を、日本語話者のフランス語発話における時間制御の面からの検証を行った。今年度はまず、04年度に行ったものと同じ産出実験を、被験者を増やしておこなった。これは、昨年度、EuroaslaとGALANAで行った発表のコメントとして、被験者数が少ないのではないかという指摘があったためである。前回の実験では、15名の被験者をつかって録音したが、間違えた発話が多く、データとして使えるものが極端に少なかったので、今回はパリ在住のフランス語が流暢な日本語話者に絞って、データを集めた。 分析の結果は、これまでの結果を再検証するものであり、日本語話者の発話の基本リズムは、日本語の発話と同様、フランス語の発話においてもモーラを基本単位としていることが確認された。また、このモーラの発話への影響は、フランス語の単語の音韻構造が大きく影響していると考えられる。フランス語が流暢な日本語話者は、仏語初級話者の発話にみられるような、語末の子音の後に母音の挿入をし、音節構造をCVにすることは原則せず、特に語末が閉音節/-C#/で、後続語が母音で始まる場合(/#V-/)、語末の子音と後続母音が融合し、モーラ数を増やさずに新しく音節を形成するため、発話長が伸びることはない。しかし日本語話は、特定の音韻環境の下で、母音を1モーラとして認識する場合と、2モーラとして認識する場合があり、この母音の知覚により、発話長に優位な差が出てくるらしいことが分かった。 この結果を元に、発話実験で使ったフランス語のフレーズ中、音韻環境により母音長が異なって認識されるフレーズのみを用い、母音を一定の長さずつ加工した刺激音を用いるゲーティング実験と、母音長が同じものと異なるものを聞き、長さの差異の有無を判断する実験を、日本語話者被験者として近日行うべく、刺激音を準備中である。
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Research Products
(2 results)