2006 Fiscal Year Annual Research Report
発話リズムの制御と知覚における韻律単位の機能と役割の検証
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16520262
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
近藤 眞理子 早稲田大学, 国際教養学術院, 助教授 (00329054)
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Keywords | 音声学 / 音韻論 / 心理言語学 / 第二言語習得理論 |
Research Abstract |
仏語の母音長と日本語話者の知覚の関係を検証するために、借用語における音韻環境と母音長の関係を見直した。音韻上のどの環境で、短母音/i/,/o/等と長母音/i:/,/o:/等と1モーラ分の差がでるのか。音素レベルでは母音に長短の違いがなく、物理的にも通常有意な長さの違いが見られない仏語の母音を、日本語話者は音韻環境等によって異なった長さの母音と認識する。2モーラとして認識される代表的な環境としては、 (1)母音の綴り:accent-circumflexが母音につく場合や、eauなど2-3文字で綴られる場合。 (2)重音節化:元の言語の閉音節が日本語に借用されたとき/CVC/→/CV.CV/となるが、初めの音節は重音節となる傾向がある。重音節化には通常(a)最終音節子音の促音化(pit→/pit.to/)と(b)母音の長音化(Pete→/pii.to/)のいずれかが起きる。 (3)(2)で閉音節の最後の子音が無声阻害音または鼻音以外のとき、母音は長音化する。 (4)再音節化:日本語で許容されない子音の連続などの音節構造のとき、母音を挿入しCVという軽音節を作り、モーラ数を増やす。 これらの音韻環境のうち、(4)は上級話者にはほとんど見られないことが既に判明しているため、今回は(1)〜(3)の環境を中心に、音韻環境で母音長が長くなる環境下の知覚と発話の関連を調べた。 その結果、日本語話者は(1)と(3)の環境において、実際は他の環境と継続時間が同じ母音を長母音として知覚し、発話においても2モーラ分の長さの長母音として産出する傾向があった。これは、仏語上級話者においても顕著に見られ、音韻環境と音声知覚、およびその産出への影響が明らかとなった。
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