2004 Fiscal Year Annual Research Report
異言語話者による音声の脳内処理に関する音響学的および生理学的研究
Project/Area Number |
16520265
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Research Institution | Nagoya University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
大岩 昌子 名古屋外国語大学, 外国語学部, 助教授 (50340360)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
軍司 敦子 国立精神・神経センター, 精神保健研究所・知的障害部・治療研究室, 研究員 (70392446)
フィリップ コミネッティ 名古屋外国語大学, 外国語学部, 講師 (10329865)
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Keywords | 母音 / 音韻知覚 / MEG(脳磁図) / ミスマッチフィールド / 日本語母語話者 / フランス人母語話者 / 誘発磁場 / 弁別 |
Research Abstract |
本研究では,日本語に特殊モーラとして存在する長音に注目し、母語に長音を持たないフランス語話者と日本語話者における聴覚野の活動パターンに対する母語の影響を脳磁図(MEG)を用いて生理学的に検討することを目的とした。なお本研究では,指標としてミスマッチフィールド(MMF)という,1秒前後の短い間隔で繰り返し提示される同一の音(標準刺激)の中に、それとは異なる音響的特性を持つ逸脱刺激がまれに挿入された場合に、逸脱刺激に対して特異的に出現する誘発脳磁場成分を用いた。日本語話者、フランス語話者ともに逸脱刺激「エレーペ」に対するMMNm(Long条件)、逸脱刺激「エレペ」に対するMMNm(Short条件)が左右大脳半球の側頭部に認められた。Short条件でのダイポール強度(〓Q〓)は、フランス語話者で、左右半球間に有意差は認められなかった。日本語話者においては、左半球におけるダイポール強度(〓Q〓)が右半球より大きく、Wilcoxonの符号順位検定を用いて比較した結果、半球間に有意な差が確認された(P<0.02)。一方、Long条件におけるダイポール強度(〓Q〓)は、フランス語話者では、左半球の方が右半球より大きい傾向が認められた(p<0.08)。日本語話者では左右半球間に、有意差は認められなかった。このように日本語話者、フランス語話者において差が認められ、母語に弁別的な長母音を持つか持たないかで聴覚野の反応が異なることが示唆された。
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Research Products
(3 results)