2006 Fiscal Year Annual Research Report
日本人は原語にない促音をなぜ知覚するか:音響音声学と聴覚音声学による新しい試み
Project/Area Number |
16520266
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Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
川越 いつえ 京都産業大学, 外国語学部, 教授 (30177662)
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Keywords | 促音 / 英語音声データ / 英語からの借用語 / 音響的特徴 / 知覚実験 / 無意味語 / 単語長 / 音節構造 |
Research Abstract |
英語duckとductの借用形に見るように、類似した音連鎖[短母音+k]だが、促音つきで借用される場合とそうでない場合がある。本研究は英語音声の、どのような音声学的特徴が目本語話者に促音を知覚させるかを入力音声の時間要因から検討した。検討対象は日本語音声の場合に促音語と非促音語を区別するとされている4要因、すなわち、促音のターゲット子音長(C)、この子音長と後続母音長の比率(C/V)、この子音長と単語長(C/W)、単語長(W)である。とくに「相対的定性」としてHirata & Whiton 2004が提示した促音の最適境界値を検討対象とした。 本研究では、英語風の無意味語/tek/,/tekt/,/tekIn/をテスト語とし、テスト語間の時間要因の有意差関係を確認した。次に、促音知覚判定テスト(日本人81名対象、1語につき延べ972回判定、2択式(例:テックとテク))を行い、/tek/>/tekIn/>/tekt/の結果(>は統計的な有意差を「大>小」示す)を得た。この結果を上述の4要因を基にテスト語の計測結果と対比し、促音知覚判定を説明する時間要因を単語長と特定した。すなわち、日本語話者は2択式の促音知覚テストでは、単語長を基準として「促音つき3拍語/4拍語か」「促音なしの2拍語/3拍語か」を判定している。ただし、英語音声によっては日本語の促音語並みのC/V値、C/W値をもつ場合もある。こうした事例では単語長よりも、C/V値、C/W値が優先的に促音知覚判断に影響する。 確認のため単語長を枠文とも伸縮した全体伸縮文と、枠文の伸縮度とテスト語の伸縮度を変えたミスマッチ式刺激文による知覚判定テストを行い、単語長という結果を確認した。従来、C/V値が促音知覚判断の要因として検討されてきたが、英語音声では、これは不十分であると結論する。
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Research Products
(1 results)