2006 Fiscal Year Annual Research Report
普遍文法における量化詞解釈の言語心理学的研究--生成文法理論と言語習得
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16520269
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
伊藤 益代 福岡大学, 人文学部, 助教授 (10289514)
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Keywords | 量化表現 / Scalar Implicatures / 「さえ」 / 総称量化詞 / 語用論的知識 / 含意 / 言語習得 |
Research Abstract |
本年度は、過去2年間の研究について、さらなるデータによる検証、及び統計処理を行い、さらに発展させた((1)、(2)参照)。そのうえで、これまで明らかになった点を出発点とし、統語論・語用論・意味論のインターフェイスを明らかにすることを大目的とする研究につながる予備研究も行った((3)参照)。 (1)量化表現の一つである「さえ」(及び「まで」)についての研究では、日本語児が「(他者の)存在の含意」や「尺度の含意(SI)」を計算することが出来ないことを示したが、その結果は、該当の意味論的知識の欠如によるものであるのか、語用論的知識の欠如によるものであるのかを決定することが出来なかった。したがって本年度は、新しい実験方法を採用し新たな実験を行った。その結果、「さえ」を含む文の語用論的情報量にある適度、敏感であることを示した。しかし、やはりSIの計算が困難であることが明らかとなった。 (2)動詞句削除文の解釈に関わる研究でも、被験者を増やし統計処理を行った結果、日本語児が裸名詞句の曖昧性(不定、同一指示,束縛変更解釈)の知識をもつことを確認した。また、照応詞「自分」の先行詞が量化表現である場合、その束縛変項解釈は、偶然のレベルの正答率であることも統計的に有意であった。このことは、量化表現を「自分」の変項束縛の先行詞として関連付けることが困難である段階が存在することを示す。議論では、裸名詞の指定部が空である場合と空代名詞がある場合を仮定し、言語獲得の経験的事実をもとに、動詞句削除の再構築操作や言語的先行詞を要求する表層照応について論じた。 (3)「情報量の強弱(適切であるかどうか)」に関わる語用論的知識をもつかどうか、リスト化における個の網羅性や「いくつか」について予備実験を行った結果、語用論的に適切な実験方法においては、高い正答率が得られたが、そうではない実験方法では、日本語児が情報量の強弱には敏感ではないことが明らかとなった。
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Research Products
(1 results)