2005 Fiscal Year Annual Research Report
16・17世紀の都市言語に関する社会言語学的・文体論的研究-ニュルンベルクを例に
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16520270
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
森澤 万里子 福岡大学, 人文学部, 助教授 (70279248)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 博行 学習院大学, 文学部, 教授 (80127331)
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Keywords | ドイツ語史 / 都市言語 / 歴史社会言語学 / 文体論 / コーパス言語学 / 関係詞 / ポライトネス |
Research Abstract |
森澤は、同一の書き手による異なる種類のテキスト間の文体的相違、また、書き手の受けた教育レベルの高さと文体の関係を分析する目的で、関係詞の現れ方に関する抜き取り調査を行なった。資料としたのは、16世紀のニュルンベルクを代表する二人の人物、画家A,デューラーと高等教育を受けたニュルンベルク市書記L,シュペングラーの私的テキスト(私的書簡など)及び公的テキスト(出版物、公的書簡など)である。特にデューラーの私的テキストはごく限られたものしか残されていないが、調査した範囲ではシュペングラーよりも,教育レベルが低いデューラーの方が私的テキストと公的テキストの間で競合する関係詞の現れ方に顕著な差があると解釈できる結果が得られた。 17世紀を担当した高田は、ゲオルク・フィリップ・ハルスデルファーが1656年にニュルンベルクで出版した『ドイツ語の書簡便覧』(Der Teutsche Secretarius)を取り上げた。この書には、書簡の書き方の原理と実例が詳細に書かれている。それを分析することで、17世紀中葉のニュルンベルクの都市貴族が、書簡のなかで差出人と受取人との社会的関係がどのように反映されるべきであると見たかをいくつかの点で再構成することができた。例えば、相手への呼びかけとしては名詞よりも形容詞の名詞化のほうが儀礼的であり、また名詞・形容詞・動詞以外に、特定の副詞や語句や統語的組み合わせも儀礼性を高める働きを有していた。さらにまた、社会的身分の違いは冒頭の呼びかけと最後の結びの言語的表現によってだけでなく、文字の大きさの違いによってもマーキングされていた。
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Research Products
(6 results)