2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520277
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木田 章義 京都大学, 文学研究科, 教授 (30131486)
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Keywords | 抄物 / 両足院 / 林宗二 / 和仲東靖 / 利峯東鋭 / 史記抄 / 左伝抄 / 清家文庫 |
Research Abstract |
建仁寺両足院に所蔵される「抄物」を中心に研究を行った。目録から「抄物」と判断できるものはすべて写真撮影を行い、続いて書名からは抄物と判断できない「抄物」を探しながら、当時の僧侶の知識の基盤となった典籍、五山版、宋版、元版の仏典の調査、さらに、建仁寺関係の禅僧の著作の調査を行った。 両足院に伝わる「抄物」には二種類あるようで、一つは両足院の僧侶の作成したもの、もう一つは林家から譲り受けたものがあるらしい。林家から譲渡された事情ははっきりしないが、林家譲渡のものには神道関係の抄物が多い。そこに和仲東靖の筆と伝えられるものも入っているが、それと同筆の抄物が、他にもかなりあって、彼が多くの抄物に関係していたらしいことが分かってきた。同じように字体の分析から、室町末から江戸初期に掛けて、,利峯東鋭も多くの写本を作っていたらしいことが分かった。林宗二、林宗和、和仲東靖、利峯東鋭の四人の手になる抄物を区別し、それ以外の抄物が誰の手になるものかを明らかにする必要があることが分かった。また、江戸時代に作られた「淋汗疏」などの紙背から「史記抄」を発見した。現在30葉分が見つかっているが、この史記抄が、京都大学附属図書館清家文庫所蔵の史記抄とほぼ同じものであり、両足院と清家の関係が、予想外に深いこと、また、「左伝」や「左伝抄」から、清家との関わりには、直接的な関係と、他の僧侶を通じての間接的な関係の両方があったことなども分かった。
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Research Products
(2 results)