2005 Fiscal Year Annual Research Report
平安鎌倉時代における儀軌・次第訓点資料の漢文訓読語史的研究
Project/Area Number |
16520280
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
松本 光隆 広島大学, 大学院・文学研究科, 教授 (20157382)
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Keywords | 儀軌 / 次第 / 訓点資料 / 漢文訓読語史 |
Research Abstract |
「平安鎌倉時代における儀軌・次第訓点資料の漢文訓読語史的研究」の表題のもとに、本年度は、以下の研究を行った。 儀軌・次第訓点資料の漢文訓読語の解明のために、天台宗山門派の金剛界儀軌を取り上げ、以下の論文を公にした。 ○天台宗山門派における金剛界儀軌の訓読語(『築島裕博士傘寿記念国語学論集』、汲古書院、平成17年10月、pp247-262 この論文は、宝幢院点資料を中心として論じたものであるが、天台宗山門派においては、宝幢院点、仁都波迦点などをはじめとした、諸種のヲコト点法による諸種の訓読が展開されていたものであろうと認められ、宝幢院点加点資料内部にあっても、一つの祖点から純粋に伝承された一種類の訓読が行われていた訳ではなく、言語表現としての大きな枠組み(語序や句読など)伝承性は認められるものの、訓読語の諸要素は、平安後半期に改変されていたものと考えられるところであって、宝幢院点内部に、質の異なった訓読語が生成されていたものであることを解明した。 儀軌・次第訓点資料の漢文訓読語の解明のためには、儀軌・次第訓点資料の性格が解明されねばならない。訓読語の性格を考えるためには、儀軌・次第訓点資料に書き込まれた諸種の情報によって考察されるところであるが、中でも奥書によって与えられる情報は、儀軌・次第訓点資料の性格を解明する上で重要なものである。特に、房号や僧名によって、資料の性格が明らかになることが多い。この情報の活用のために、野沢血脈集のデータベースを構築するための入力作業を終了した。
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Research Products
(2 results)