2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520283
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
堀畑 正臣 熊本大学, 教育学部, 教授 (60253704)
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Keywords | 民経記 / 名月記 / 鎌倉時代の古記録 / 記録語 / 異名 / 唐名 / 唐代口語 / 記録語法 |
Research Abstract |
平成16年度は、藤原経光『民経記』(記録1226〜68)に於ける(1)「記録語」(2)「異名」(3)「唐名」(4)「漢語表現」(5)「漢文語法」(6)「記録語法」(7)「唐代口語」(8)「病の語」の調査と記述を行った。(1)「記録語」としては、斎木一馬氏が挙げられた記録語例解との比較で言えば、「有若亡18、邂逅4、景迹1、饗応7、計会11、経廻8、骨張4、相博3、左道2、青女2、逐電132、突鼻2、飛行2、秘計13、牢籠2、〓弱2、和讒12」が見られた。この他、「勝事5、済々焉23、与奪45、払底1、併14、露顕3、奔営2、奔波1、経営7」等の記録語も見られた。いくつか気がついた点を述べると、(ア)「因縁」が3例見え、その中の2例は「原因」の意であるが、1例が「縁続き」の意で使用されていて、平安時代の「聟」を表わす「因縁」の意とは変化している。(イ)類義語として「時儀10、時宜2、時議10」の三種類が見え、用法差があるようである。(ウ)『明月記』にも3例あった「雨脚のように頻繁に」の「如雨脚」が『民経記』にも5例見える。(エ)平安後期の『小右記』に見られた「觸事(ことごと)」が見えず、「毎事(ことごと)」(204例)が使用されている。(オ)「候気色(けしきをうかがふ)」11例と「伺気色(けしきをうかがふ)」12例とが拮抗している。以上が記録語についての概略である。(2)「異名」については、「宇県(宇治)4、宇懸(宇治)1、下若(酒)2、華洛(京都)3、五明(扇)1、上林(酒の肴)1、十字(餅)1、白波(盗賊)7、長安城(京都右京)1、龍蹄(駿馬)2、土木(造作)2」等が見られた。「異名」が平安・院政期の古記録と比べて多種類になってきている。(3)「唐名」については、「博陸16、攝録3、蓮府1、丞相9、相府9、執柄34、相国50以上、相公41以上、蘭臺3、鸞臺7、黄門80以上、亞相59、拾遺30、大丞32、金吾36、戸部23、武衛4、李部1、尚書10、羽林33、雲客48、侍中17」等が見られた。個人名代わりに多用されているようである。
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Research Products
(1 results)