2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520283
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
堀畑 正臣 熊本大学, 教育学部, 教授 (60253704)
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Keywords | 古記録 / 記録語 / 記録語法 / 猪隈関白記 / 国語学 / 鎌倉時代 / 古記録語法の口頭語化 / 被下(くださる) |
Research Abstract |
平成18年度は、近衛家実『猪隈関白記』(1197〜1232)の調査を行った。 (1)、「記録語」としては、「饗応」1例、「景気」1例、「如在」3例、「白地」6例、「参差」1例、「非拠」2例、「見来」1例、「以外」5例が見えた。「被成(なさる)」は2例有り、「僧事可被成」と「小僧事〜可被成」の例があった。「僧事」と「小僧事」を「なさる」。「〜事」を取る。「被下(くださる)」は「〜(ヲ)被下」が14例見える。「被下」のは「文書」類である。内訳は「宣旨6・下名2・宣命1・外任奏1・勘文1・吉書1・辞状1・請奏1」の14例である。このほか「人ニ(〜ヲ)被下」が3例、「御箸被下」1例、「人ヲ馬寮ニ被下」が2例見える。「有御〜(〔ご/おん/み〕〜あり)」の例として、「〜」の中に入るごくとしては「名詞形」や「名詞+事」が多いが、中に、「有御尋」が2例、「有御出」2例、「有御感」4例、「有御減気」1例、「有御出立」2例、「有御用意」1例などが見える。「ご〜あり」の方がまだ多い。 (2)、「異名・異称」としては、「宇懸」1例、「回禄」4例、「宸儀」3例、「執柄」10例が見えた。 (3)、「漢文語法」としては、「豈(アニ)」11例、「蓋(ケダシ)」5例、「況(イハンヤ)」14例見えた。 (4)、「唐代口語」としては、「向後」3例、「自余」61例が見えた。 (5)、「病の語」の語は、「飲水」1例、「風気」2例、「不例」44例、「痢病」5例、「寸白」2例が見えた。 (6)「記録語法」として、「候気色(ケシキヲウカガフ)」が64例、「伺気色(ケシキヲウカガフ)」が26例、「候天気(テンキヲウカガフ)」が28例、「伺天気(テンキヲウカガフ)」が2例、「取御気色(ミケシキヲトル)」が3例見える。 『民経記』に比較すると『猪隈関白記』には「記録語」「唐名」「異名・異称」等の使用は少ない。鎌倉期の古記録としては『民経記』の方が「記録語」「異名・異称」も多く興味深い。
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Research Products
(2 results)