2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520300
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
西岡 宣明 九州大学, 人文科学研究院, 助教授 (80198431)
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Keywords | 文否定 / 構成素否定 / NegP / PolP / Agree / 多重wh疑問文 / 生成文法 |
Research Abstract |
本年度は、まず、生成文法理論の枠組みでの先行研究として、否定文の節構造に否定機能範疇NegPを想定するNegP分析を検証した。NegP分析はPollock(1989)以来、英語の否定文に広く想定されている分析であるが、NegP分析を想定する主要な分析を吟味した結果、個々の分析の問題に加え、否定文の統一的説明ができない、否定対極表現(NPI)を含む例が説明できない等の問題があり、理論的にも経験的にも支持できないことを明らかにした。その成果は西岡(2006a)で公表している。そして、代案として、本研究で一貫して探求しているPolP分析が優れていることの検証を進めた。PolP分析とは、節構造のTPの上位に機能範疇のPolの投射を想定し、文中の否定要素とPolとの統語的matching(Agree)の結果、Polが否定素性を獲得することにより否定文として認可されるとする分析である。 そして、PolP分析の利点の一つとして、PolP分析は文否定と否定のスコープが文全体に及ばない構成素否定の違いをうまく捉えることができることを先行研究と比較検討しながら実証した。その成果が西岡(2005)である。 さらに、PolP分析によって明らかにされた統語的メカニズムは、否定文のみならず、英語の多重wh疑問文においても働いていることを明らかにして、分析の理論的意義と経験的妥当性を主張した。その成果は、西岡(2006b)として公表予定(寄稿済み)である。
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