2006 Fiscal Year Annual Research Report
研究留学生のための会語教育の開発-<表現意図>の理解に基づく日本語生活の拡張-
Project/Area Number |
16520314
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
増田 真理子 東京大学, 留学生センター, 助教授 (30334254)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
本郷 智子 東京大学, 留学生センター, 特任講師 (60401452)
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Keywords | 会話教育 / 研究留学生 / 初級初期段階 / 意図 / 定型表現 / 談話 / 接続詞 / カジュアル会話 |
Research Abstract |
1)初級初期段階の会話教育のあり方について 従来、初級段階では、基本的な文構造をある程度固めてから、その上に、中盤以降で、フィラー、終助詞、応答詞などのバリエーションを肉付けしていくというのが一般的であったのに対し、本研究では、「簡単な文構造しか有していない初級最初期こそ、学習者をそれらの諸要素の伝える意味(意図)に敏感にさせ、それらを使用した際の表現効果の大きさを実感させるのによいとの見地から、この段階の学習にこれらの学習項目を優先的に取り上げることを提案し、そのための教材作成を行った。 また、これまでは学習者が自然に習得するに任せることが多かった「各種定型表現」においても、最初期の段階から、明確な「意図」を捉えさせ、実場面に結びつける練習(例えば、相手に物を渡す際、「どうぞ」と「お願いします」の「受益者」の異なりを捉える、等)を行い、その後の日本語学習の段階で必要となる「恩恵」「行為者」といったファクターに早くから触れさせることを試みた。さらに、高コンテクスト言語である日本語において、「完全文」で情報を埋め尽くすような話し方ではなく、「明白な情報」の削ぎ落としを伴う「不完全文」を交えて話すことの意義も、この段階の教育で扱えることを示した。これらの授業実践から、初級段階でも、これらの意識化は演繹的な指向をもつ研究留学生に対してふさわしいアプローチであるとの感触を得た。 2)研究留学生の実生活に即した会話教育について 研究留学生においては、日本語を使用する動機が、英語が通じる「指導教員」との丁寧な会話より、むしろ「カジュアル」な会話を駆使しての同年代の母語話者との会話にあることを指摘し、その指導法について提案した。 3)会話における接続詞の使用について これまで「書き言葉」的とされてきた接続表現「しかも」について、「話し言葉」としても多用され、対話者に対する「共感提示要素」としての談話的機能が認められることを指摘した。 4)これまでの実践記録、及び作成教材の整理 最終年度にあたり、これまでの実践記録、発表等を報告集としてまとめた。
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Research Products
(4 results)