2005 Fiscal Year Annual Research Report
脳磁図、fMRI、近赤外分光法を用いた留学生の日本語習得過程の経年的研究
Project/Area Number |
16520315
|
Research Institution | Tokyo Medical and Dental University |
Principal Investigator |
大北 葉子 東京医科歯科大学, 留学生センター, 助教授 (10361726)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 英介 東京医科歯科大学, 大学院・医歯学総合研究科, 助教授 (50242186)
佐々木 喜則 お茶の水女子大学, 人間文化研究科, 助教授 (00334558)
|
Keywords | 日本語学習 / 非侵襲脳機能計測 / 近赤外分光法 / MEG / fMRI / 初級者 / 漢字認識 / 習得速度 |
Research Abstract |
非漢字圏日本語学習者で初級学習者9人、中級学習者3人、日本人2人、中国人4人を対象に漢字および類似図形を視覚刺激として、脳磁図測定を行った。用いた刺激は、漢字、偽漢字、誤漢字、ハングル文字、絵フォントの5種であった。ほとんどの被験者のハングル文字認識正解率は100-95%であった。脳磁図に心電が原因と見られるノイズが多く混入して半数の被験者のデータはICA分析でノイズ除去が必要と思われる。現在早稲田大学理工学部村田昇研究室にICA分析を依頼中である。ノイズが少なかった被験者のデータをみると、文字認識の指標と言われている潜時150ミリ秒付近のM100成分の振幅の大きさが漢字圏の日本人、中国人では大きいのに対して、非漢字圏の日本語学習者では上級学習者でも小さく、初級のバングラディシュ人ではほとんど認められなかった。万国共通と思われる絵フォントで日本人と中国人はM100成分の振幅が大きいのに対して、バングラディシュ人ではほとんどなく、また上級学習者のベトナム人でも小さい。漢字圏の被験者は絵フォントを文字として認識しているのに対し非漢字圏の被験者は絵フォントを文字として認識していない可能性を示しているのではないだろうか。また中国人は日本人に比べて日本語の漢字以外では反応が大きいように見られるが、被験者数を増やして検討する必要がある。日本人被験者でハングル文字認知正解率100%(被験者(1))とハングル文字正解率が20%(被験者(2))という極端が差のあるデータが得られた。同じ日本人でもハングル文字認識能力が低いと絵フォントとハングル文字でのM100成分の振幅が顕著に小さく、漢字でも被験者(2)のM100成分の振幅は被験者(1)のものに比べてわずかに小さいように思われる。この結果は脳磁図の脳神経学的データと実際の漢字運用能力とは正比例の関係ではないことを示唆している。脳神経学的データと漢字学習の関係についてさらなる検討が必要である。
|
Research Products
(1 results)