2005 Fiscal Year Annual Research Report
日本語学習での文章読解時の意味処理過程の分析及び処理の自動化を促進する教材の開発
Project/Area Number |
16520317
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Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
鈴木 美加 東京外国語大学, 留学生日本語教育センター, 助教授 (90226556)
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Keywords | 日本語教育 / 読解過程 / 語彙 / 省略 / アイカメラ |
Research Abstract |
2005年度には、主に3つのことを進めた。 1)読解中の語彙処理を促す教材を整備・改良を行い、読解トレーニングの授業で学習者71名に使用した。授業担当教師7名及び学習者からアンケートにより意見を得、本教材を含む読解トレーニングの教材、授業ともに9割の学習者から役に立つという回答を得た。また、自由記述の欄で、本教材の有用性を挙げた学習者が多く見られた。また、自動化を進めるため、トレーニング教材には、目安としての制限時間を設けたため、2名の学習者から速く処理するためにプレッシャーを感じるという点があげられた。授業では、8クラスに分かれ、8名の教師により授業が同一時間に行われたが、教師間で教材の扱い方が異なることが示唆された。予め教材の扱い方を担当教師に説明しているが、若干修正を加える必要があることがわかった。 2)省略箇所を含む文章の処理を支援する読解教材を授業で使用し、その有効性を確かめた。内容的には、文単位での省略や、談話の中での省略についてその省略部分の理解を問うものなどである。授業担当教師から「わかりやすい」「さまざまなレベルの省略が練習できて良かった」というコメントを得ている。同じ内容の文章について、省略を多く含む場合とあまり含まない場合を比較する活動もしており、学習者がどのように感じたかについて現在データを整理している。 3)日本語初級終了レベルの学生5名、日本人1名が3種類の文章を読む際の視線の動きを、記録した。コンピュータに実験協力者の視線の軌跡がデータとして入力されているが、眼球運動を測定する場合に、実験協力者の眼球の特性との関連でカメラが眼球の動きを捉えきれず、ずれる場合がある。そのデータの有用な部分の情報をどうデータとして解析するかが問題となっている。現在、専門家(竹井機器工業(株)、千葉工業大学)に問い合わせ、協力を得、解析を進めている状況である。 なお、2005年度の支出として予定していた成果発表は都内で実施し、外部の関連機関とのやりとりはメール及び電話により行った。また機器レンタルを予定していたが、機器使用による実験は、業者の機器検証の意図もあり、機器を無料で借り出し、機器関連の情報も得ることができ、本年度の研究を進めることができた。
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Research Products
(2 results)