2004 Fiscal Year Annual Research Report
ドイツ語・日本語母語者の談話分析と異文化コミュニケーション
Project/Area Number |
16520354
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Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
宮内 敬太郎 立教大学, コミュニティ福祉学部, 教授 (90101617)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
BRIEL Rita 立教大学, ランゲージ・センター, 嘱託講師 (00329004)
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Keywords | interkulturelle Kommunikation / Konversationsanalyse / Kultur / social organization / deductive-inductive pattern / linguistic politeness / turn-taking / nonverbales Verhalten |
Research Abstract |
本研究ではドイツ語、日本語母語話者の対面相互行為に表れる「思考様式」と「丁寧な言葉使い」、これに直接的に関わる「話者交替」等の「社会的仕組み」に焦点を絞り、異文化コミュニケーションの視座から非言語行動も視野に入れて両社会でこれら要素がどのような形で現れ、有意性にいかなる優劣があるかを特定、解明、記述することを主眼にする。その際、談話に表れるこれらの要素を分析、記述する言語理論の構築が重要な課題となる。言語資料には政治討論を分析の対象に据える。 談話分析の方法論に関しては平成16年7月〜8月には理論言語学者のH.-H.Lieb教授、社会言語学者J.Schwitalla教授、社会言語学者で日本語談話分析を専門とするP.Szatrowski教授等と情報の交換を行い、モデル構築に有益な着想が得られた。言語資料は共同研究者と手分けして、ベルリン等で政治討論のテレビ番組を10本(約500分)録画し、また日本語の政治討論は6本の番組(約360分)をビデオ・テープに収録でき、資料体として一応の分量を確保できたと思われる。 中間報告的な成果として以下の点が挙げられる。ドイツでは政治家が正面から対立の姿勢で論争を行い、相手を論駁すべく議論を展開する相互行為が一般的と言える。発話者は正確かつ客観的な言葉の使い方に徹し、矢継ぎ早に自説を述べ立てる。発言が僅かの間でも途切れたりすると、他の政治家に発言権を奪われ、「話者交替」を招来してしまう。総じて「丁寧な言葉使い」の了解が日本人とは異質と言える。思考様式は初めに結論を述べ、後に根拠づけを何重にも行う「演繹的様式」が確認できた。他方、日本では政治家はどの政党に属するかで発言時間が制限されている。討議は核心になる論点を正面からぶつけ合うよりは、その周辺の問題を婉曲な表現で論じ合う傾向が認められる。また司会者が発言を取り仕切る場面がドイツに比して多い。1人の政治家が発言する分量はドイツに比べて圧倒的に少ない。非言語行動の面では、ドイツでは思案を巡らすため2-3秒間、顔を横に向けて時間を稼いだり、手の平を顔の両側に立て「視野の狭さ」を示唆するなど、顔や身振りを駆使したメッセージ発信が頻繁に行われる。これに比べて日本の政治討論では表情や手などを用いた非言語メッセージの発信は総体的に少ない。
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Research Products
(3 results)