2004 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期における国際秩序講想と日本-太平洋問題調査会における論議を中心として-
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16520387
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
布川 弘 広島大学, 総合科学部, 助教授 (30294474)
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Keywords | 太平洋会議 / 賀川豊彦 / 新渡戸稲造 / 太平洋問題調査会 / 戦間期 / 国際秩序 / 日中関係 / 平和運動 |
Research Abstract |
本年度は、太平洋問題調査会(Institute of Pacific Relations,略称I.P.R.)の設立とその日本委員会結成の経緯、及び1925年に開催されたホノルル会議を中心とした活動状況を明らかにすることを目標とした。とりわけ、ホノルル会議の各セッションでの議論における争点を明らかにしながら、当該時期の環太平洋における国際秩序構想の可能性を探り、また、余裕があれば各国委員会の活動状況についても調査し、日本委員会における新渡戸らの活動と発言を明らかにしようとした。太平洋問題調査会の設立とホノルル会議を中心とした活動状況を物語る一次史料については、ハワイ大学図書館(University of Hawaii at Manoa Library, Hamilton Library)が包括的な一次史料を所蔵しているので、当該年度の海外史料調査は(ハワイ大学図書館の所蔵史料調査が主となるはずであったが、ハワイ大学図書館が事故で長期使用不可能の状態となり、太平洋問題調査会関係史料(Institute of Pacific Relations Records)の閲覧が不可能となった。そのため、研究計画におけるもう一つの重要な作業として位置づけていたヘレン・タッピング文書の調査に重点を移した。太平洋会議において重要な役割を果たした新渡戸稲造と賀川豊彦の動向を詳しく物語るタッピング文書の閲覧は、東京都国立市在住の米沢和一郎氏が所蔵しているものを利用させていただいた。そうした事情で海外調査旅費を消化できず、国内調査旅費のみの使用となった。調査の効率化をはかるために、デジタルカメラを持ち込み、史料の接写をして複写にかえた。そのために、比較的解像度の高い、接写に優れたデジタルカメラを使用し、文書を複写してパーソナル・コンピュータに取り込んだ。そうした作業の結果、太平洋会議に関わる日中の関係者の動向を具に物語る文書群を収集することができた。
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