2005 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期における国際秩序講想と日本-太平洋問題調査会における論議を中心として-
Project/Area Number |
16520387
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
布川 弘 広島大学, 総合科学部, 教授 (30294474)
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Keywords | 日本史 / 戦間期 / 国際秩序 / 太平洋問題調査会 / 日中関係 |
Research Abstract |
太平洋問題調査会日本委員会において中心的な役割を果たした新渡戸稲造の国際秩序構想について明らかにするため、ジュネーブにある国際連合図書館(The Library of the United Nations Office at Geneva)の国際連盟アーカイブ(The Archives of the League of Nations)が所蔵する国際連盟事務局ファイル(The Secretariat of the League)の内、書記次長をつとめた新渡戸稲造のファイルを中心とした史料を閲覧し、ノートを作成した。その史料調査ための海外旅費を使用した。また、京都会議を中心とした活動状況を物語る史料について、東京大学アメリカ太平洋地域研究センター所蔵の太平洋問題調査会関係資料(高木八尺コレクション)、及び、さらに、南イリノイ大学のヘレン・タッピング文書などの収集史料を整理してデジタル化し、データベース化の準備作業を行った。そのために、物品費を使用してパーソナル・コンピューターを購入した。そうした作業によって、新渡戸稲造や賀川豊彦が、太平洋問題調査会上海会議の準備と平行して、アジア間の精神的な連帯のための組織作りに努力を傾注していたことが明らかになった。来年度は、そうした精神的な連帯のための組織作りをより詳細に明らかにし、上海会議との関連を検討しながら、新渡戸の国際秩序構想のユニークな一面を浮き彫りにしたい。そして、その成果を報告書にまとめたい。
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