2006 Fiscal Year Annual Research Report
戦間期における国際秩序講想と日本-太平洋問題調査会における論議を中心として-
Project/Area Number |
16520387
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
布川 弘 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (30294474)
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Keywords | 太平洋会議 / 賀川豊彦 / 新渡戸稲造 / 太平洋問題調査会 / 戦間期 / 国際秩序 / 日中間系 / 平和運動 |
Research Abstract |
本研究は、太平洋問題調査会の日本委員会において中心的な役割を果たした新渡戸稲造、および新渡戸と緊密な関係をもちつつ「神の国運動」を通じて中国のクリスチャンや欧米ミッションと深い関わりをもった賀川豊彦の思想と行動に焦点をあて、戦間期における彼らの東アジア及び環太平洋における国際秩序構想を明らかにすることを大きな目標としている。その際、新渡戸を中心とした国際連盟関係の人脈、賀川を中心とした欧米人・中国人の人脈など、人的交流のあり方を浮き彫りにし、そうした交流の中で育まれた具体的な秩序構想を明らかにしながら、太平洋問題調査会が開催した太平洋会議という知的交流の場とそれとの関連を浮き彫りにし、ナショナルな問題との葛藤を組み込みながら、秩序構想の動的な変遷をたどることに重点を置いた。 具体的な作業については、海外史料として平成17年度に収集した南イリノイ大学が所蔵するヘレン・タッピング文書、平成18年度に収集したジュネーブの国際連合国際連合図書館が所蔵する新渡戸稲造のファイル、国内の史料として東京大学アメリカ太平洋地域研究センターの高木八尺コレクションなどの分析を中心に行い、補足的な史料蒐集のため、旅費と図書費を使用した。しかし、ヘレン・タッピング文書を蒐集された方の献身的なご協力を得ることができたこともあり、当初の予定額に比べ旅費と図書費が大幅に節約できた。その余剰分を史料分析に不可欠な備品の購入に充てることが可能となった。
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