2006 Fiscal Year Annual Research Report
近世広島藩領における林野「植生」と「動物相」の研究
Project/Area Number |
16520388
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Research Institution | HIROSHIMA UNIVERSITY |
Principal Investigator |
佐竹 昭 広島大学, 大学院総合科学研究科, 教授 (00127656)
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Keywords | 江戸時代の植生 / 江戸時代の動物相 / 燃料炭 / 猪 / 中国山地のたたら / 広島藩 |
Research Abstract |
〔研究目的の達成状況〕 本研究は,「近世社会において,地域の人々の暮らしのありようが林野利用とその植生のあり方,さらには動物相にどう現れているかを明らかにすること」を目的としている。 広島藩領の林野植生と動物相の地域的特徴を極めて簡単にまとめると,瀬戸内沿岸,特に島嶼地域における極限的な貧弱さということになるが,本年度は最終年度でもあり,西回り航路の発達と沿岸部諸産業の成長,激しい人口増加など,人間活動活発化との関わりでこの現象を理解できるよう努めた。成果の一端は第7回西廻り航路フォーラムで「近世瀬戸内の航路と交易-地域と環境の変容-」と題して報告した。一方,内陸部においてもたたら製鉄への燃料供給と森林資源枯渇の問題がある。広島・松江・鳥取各藩が境を接する地域では,広島藩領に比して松江・鳥取藩領のほうが深刻で,製鉄業の盛行が逆に反映している。また絲原・櫻井・近藤家など広大な山林を所持する大鉄師に対して中小の鉄師がより深刻であるなどの見通しも得ることができた(詳細は報告書冊子に掲載予定)。 〔研究実施計画の実施状況〕 本年度計画したうち重点的に行ったのは,「松江藩領奥出雲におけるたたら製鉄と,広島藩領奥備後の製炭関係資料の調査・収集」である。内陸部のたたら製鉄と林野利用についての研究を進めるため,すでに収集した奥出雲の史料を分析しつつ,広島県庄原市西城町の調査を行い,新たに鉄山関係資料を収集することができた。これに,収集済みの享保10年の奴可郡山帳から得られる林野状況,あるいは今年度購入した占領下当該地域の空中写真などを加えて有機的な検討が可能となった。また,これらの成果を取りまとめ,さらに他地域についても本研究の可能性を検討するため,いくつかの自然史博物館や山口県文書館などで調査を行うことができた。
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Research Products
(2 results)