2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520391
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
小野沢 あかね 琉球大学, 法文学部, 助教授 (00276700)
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Keywords | 戦時社会 / 労働力動員 / 公娼制度 / 人口政策 / 純潔運動 / 米軍統治 / 沖縄 / Aサインバー |
Research Abstract |
2004年度には、当初の研究計画(以下の1、2)以上の成果(3)もあげる事ができた。 1 戦時における地方純潔運動に関して史料収集、考察をすすめ、論文「軍需工場地帯における純潔運動-群馬県を中心として-」(原朗編『戦時期日本の経済と社会』(東京大学出版会、2005年刊行予定)に掲載予定である。この論文では、軍需工場地帯となった群馬県において顕著であった徴用工や青少年工の欠勤や不良化、享楽化、闇取引や軍需工場がらみの経済犯罪に対抗して行われた、同県社会事業家らによる純潔運動の展開を明らかにした。先行研究で、戦時純潔運動が国策と一体化し、優生学的傾向を強めたことが大雑把に指摘されているのと異なり、本稿では同運動が軍部の享楽に対する批判や統制経済の指導者批判、人口政策批判を鋭く展開していたことを明らかにした。 2 駒沢大学付属図書館所蔵の「烏山遊廓史料」のコピーをほぼ終え、大正8年と9年の「遊客人名簿」のデータベース化を開始した。 3 戦後の米軍統治下沖縄におけるコザ市センター通りの米軍向けバー(Aサインバー)に関する聞き取り調査をすすめると同時に、論文「米軍統治下Aサインバーの変遷に関する-考察-女性従業員の待遇を中心に-」(『日本東洋文化論集』11号、琉球大学、2005年3月)を執筆した。本稿では、主として1950年代から70年代にかけてのAサインバーにおける女性従業員への賃金支払い方法、女性従業員の居住形態・前借金などの変遷に関して、主として筆者が元Aサインバー経営者に対する聞き取り調査の内容から構成した大まかな見取り図を示した。Aサインバーに関しては、これまで断片的な調査やルポなどは存在するが、このような見取り図は初めて示されたものである。
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Research Products
(2 results)