2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520398
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
青山 幹哉 南山大学, 人文学部, 助教授 (20211691)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松島 周一 愛知教育大学, 教育学部, 助教授 (10212218)
永井 英治 南山大学, 経済学部, 助手 (60373073)
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Keywords | 尾張 / 三河 / 武士の系図 / 再構築された歴史 / 氏祖伝承 / 落胤 / 南朝伝説 |
Research Abstract |
前年度に引き続き、本年度も史料の検索と収集作業を進める一方、作業仮説の検討作業を開始した。 第一に、名古屋市立鶴舞中央図書館・名古屋市蓬左文庫・東京大学史料編纂所・国立公文書館内閣文庫・石川県金沢市立玉川図書館近世史料館などにおいて、古文書・古記録、近世資料である系図・由緒書等から南北朝〜戦国期に活動したと思われる尾張・三河の武士の一族について調査した。また、阿波蜂須賀家関係史料や尾張藩編纂の藩士系図集「士林泝〓」などからも、尾張の大橋・横井・兼松氏、三河の足助・吉良・大河内氏などについての史料を抽出し、データベースの作成に入った。 第二に、中世〜近世前期の尾張武士の家における「貴種流離伝説」「南朝伝説」の存在についての検討を開始した。まず、鎌倉時代の名族の末裔を称する横井・梶原氏、後醍醐天皇伝説を伝える尾張津島の大橋・平野氏と丹羽郡の熊沢氏、菅原道真の落胤を称する阿久比の久松氏等を検出し、それらから、貴種の者が敗れ、その落胤が在地に土着して豪族となるという、「敗者の復活」としての氏祖伝承が、戦国末期から近世前期にかけて、テキスト化されていった状況を分析した。とくに南朝伝説は、信濃・遠江から三河・尾張にかけてのさまざまな伝承が、「記憶」の累層化を進展させていったものと思われ、今後、民俗学の成果をいかに吸収するかが課題となってきた。 第三に、事実としての歴史と「再構築された歴史」の関係を考察するために、南北朝期〜室町期の尾張・三河の政治状況についての具体的検討と分析をおこない、総合的考察のための準備作業に入った。
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