2004 Fiscal Year Annual Research Report
天竜寺・相国寺を中心とした五山派禅宗寺院文書の研究
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16520403
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
原田 正俊 関西大学, 文学部, 助教授 (40278883)
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Keywords | 天竜寺 / 相国寺 / 禅宗 / 五山 |
Research Abstract |
今年度は、まず天竜寺文書を収集し紙焼写真を作成した。天竜寺文書は五山のなかでも比較的古文書の残りがよく、基本的な重書のたぐいは収集することができた。現在、天竜寺に伝来している天竜寺文書は、塔頭文書のいくつかを含み、臨川寺・臨川寺内三会院・宝篋院のものを含む。また、天竜寺関わる重書については、重書案が作成され、禅宗寺院の特徴ともいえる折本形式で文書が写され、室町幕府の管領が証判を加えるというものである。禅宗寺院の文書管理、組織形態に応じた古文書論の研究は、ほとんどない状況で、こうした、天竜寺一山の文書を系統的に集成することは、大いに意味のあることである。一部読解を進めた。 文書群のなかには、加賀国大野庄関係の帳簿類もあり、先に研究代表者が中心になって編纂した『鹿王院文書の研究』(平成11年度科学研究費「研究成果公開促進費」、思文閣出版)に所収の文書群とも関連したものがいくつかある。五山関係の荘園支配の実態を解明するのにも重要である。あわせて、五山領荘園については、東京大学史料編纂所・加能史料編纂室などにおいて関連史料の調査を行った。 相国寺文書については、当寺にはほとんどかたまって中世文書が伝来していない状況で、本坊南蔵の調査を許可していただき、実見した。この結果、近世中期以降のものしか存在しなかった。さらに相国寺承天閣美術館収蔵庫に移管されていた史料のなかから、相国寺供養記・相国寺塔供養記・南遊稿など記録・語録類写本の撮影を行い、紙焼写真を作成した。中世五山の仏事法会のあり方、社会的機能を論ずる上でも重要なものであり、現存各種の伝本との比較検討を今後進めていく。
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Research Products
(2 results)