2006 Fiscal Year Annual Research Report
天竜寺・相国寺を中心とした五山派禅宗寺院文書の研究
Project/Area Number |
16520403
|
Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
原田 正俊 関西大学, 文学部, 教授 (40278883)
|
Keywords | 禅宗 / 京都 / 古文書学 / 寺院 / 日本文化 / 日本中世 |
Research Abstract |
今年度は、調査カードの整理、収集した古文書写真の目録化を行った。天竜寺文書については、これまで、京都府教育委員会文化財保護課が作成した緊急文書調査報告書があるが、これは、現存する正文のみの目録であり、中世文書の多くが含まれる、重書案の細目録が取られておらず、研究する際も非常に不便であった。重書案は内容も豊富であり、今回、目録を作成することにより、天竜寺文書の全容を把握することができるようになった。また、寺外に流出していた尼崎市教育委員会所蔵の臨川寺三会院重書案の目録を作成した。全部の正文と案文全体を統合して編年目録を作成した。これによって、天竜寺文書のなかの中世文書が容易に検索できるようになった。文書全体の残存傾向、荘園ごとの残り方の偏差、発給者を一覧することにより、五山禅林と社会の関係を明瞭にすることが可能になった。重書案については五山禅宗寺院における文書管理方法としても注目され、とりわけ足利将軍、室町幕府管領による文書保障の在り方は注目される。 相国寺文書については、撮影分写真の整理を行い、目録を作成した。本文書群はまとまった中世文書は少ないが、織田豊臣期の住持職任命状である公帖を新たに発見することができた。また、豊臣秀吉、徳川家康に側近として活躍した西笑承兌関係の史料翻刻を行い、思文閣出版より公刊することになった。これらの史料により、中世末から近世初頭の五山僧と統一政権の関係が明らかになり、五山僧の官僚的性格は注目される。
|
Research Products
(3 results)