2007 Fiscal Year Annual Research Report
清代中央官制の研究-内閣・翰林院・都察院を中心として-
Project/Area Number |
16520421
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
黨 武彦 Kumamoto University, 教育学部, 助教授 (80251388)
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Keywords | 清朝 / 中国 / 官僚制 / 内閣 / 都察院 / 翰林院 |
Research Abstract |
本研究の課題は清朝の中央官制について、内閣・翰林院・都察院を素材として、これら三つの中央行政機関を中心とした政治現象がいかなる主体によって、いかなる政治的資源に基づき、いかなる過程によって導き出されるのかということを明らかにし、清朝の政治過程における各機関の役割およびその機能を相互関連的に分析することである。 本年度の具体的研究実績としては、「清代六部行政文書の諸類型-『六部文件』を素材として-」を熊本大学教育学部紀要・人文科学に投稿し、掲載された。これは、内閣制度の核となる文書行政システムにおける、各レベルの行政機関における文例集である『六部文件』(専修大学図書館蔵、咸豊年間刊が推定される抄本)を紹介し分析したものである。従来は、行政文書システムにおける最上位の段階である皇帝に提出される文書(奏摺、題本等)についての研究はあったが、中間段階の各種の文書様式については、特に日本においては全く研究がなかった。史料の残存性からいって、どうしても偏った見方になりがちであった清代行政の全体像を、文例集とはいえ網羅的に見ることは、中央と地方の集権-分権、あるいは融合-分離のあり方を大きな視野で考えるうえで非常に有効であり、また、地方志などに残像する中間的な行政史料の読解にも資するものである。その一方、やはり文書システム自体からわかることは、政治や行政の一部に過ぎず、現実の政治過程はより人格的なあり方において進行する。清朝の政治史・制度史研究を進めるためには、行政文書研究を深化させることも必要であるが、さらに多用な史料の活用を模索していかねばならないだろう。 本年度までで、課題である内閣・翰林院・都察院の基礎的研究にすべて端緒をつけたので、報告書においてその成果を明らかにしたい。
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Research Products
(1 results)