2005 Fiscal Year Annual Research Report
前4世紀初頭を中心としたローマと西地中海世界の政治的・文化的関係に関する研究
Project/Area Number |
16520440
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
毛利 晶 神戸大学, 文学部, 教授 (60174330)
|
Keywords | 古代ローマ史 / 考古学 / 文献学 / ローマ:カエレ:トゥスクルム:カプア:カルタゴ |
Research Abstract |
今年度は、基本的な文献史料(フェストゥス、リウィウス、ディオドロス)の研究を続けるとともに、考古学史料(遺跡の発掘報告)、および研究テーマに関係する論文、研究書のうち昨年度収集しきれなかったものを補い、研究の進捗によって新たに必要が生じたものを収集した。また、これまでの研究成果の一部を論文にまとめる作業に取りかかった。具体的には: 1.ディオドロスの『ビブリオテケ(歴史総覧)』第14巻の史料批判的研究を進めるとともに、ローマが前4世紀に南エトルリア、ラティウム、カンパニア地域にヘゲモニーを確立する過程で作り出した「municipium(自治都市)」や「civitas sine suffragio(投票権なしの市民権)」に関して、関係史料を収集し、先行研究の成果に目を配りながら解釈を試みた。 2.9月8日から19日までローマを訪れドイツ考古学研究所の図書館で日本では入手しがたい文献を閲覧し、Archeologia Lazialeのバックナンバーによってラティウムにおける主な遣跡の発掘調査に関する情報を系統的に収集した。またエトルリアの都市ウェイイのボルトナッチオのミネルヴァ神殿跡、ローマのヴィラ・ジュリア博物館、ローマ国立博物館を訪れ、発掘報告や考古学関係の論文の内容を実見によって検証した。なお今回は時間の関係で当初予定していたトゥスクルムの遺跡の調査は行えなかった。 3.南エトルリア・ラティウム・カンパーニア地域におけるローマのヘゲモニー確立とカルタゴやギリシア植民市などで構成される西地中海世界の政治的状況に関して、研究成果の一部を現在二編の論攷にまとめつつある。そのうち「ムニキピウムの起源」は3月中に完成の予定。また「エトルリア人都市カエレのローマへの併合とcivitas s.s.の起源」も来年度の前半には完成させうる見込みである。
|