2004 Fiscal Year Annual Research Report
コミンテルン・パンアメリカン・エイジェンシーの基礎的研究
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16520445
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
山内 昭人 九州大学, 大学院・人文科学研究院, 教授 (00124850)
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Keywords | コミンテルン / パンアメリカン・エイジェンシー / 片山潜 / アメリカ共産党 / メキシコ共産党 / 在米日本人社会主義団 / 国際社会主義 |
Research Abstract |
1.ワシントンD.C.のアメリカ国立公文書館にあるアメリカ軍情報部および連邦捜査局関係の厖大なファイル、すなわちRG165(Correspondence of the Military Intelligence Division of the War Department General Staff,1917-1941)、R65(Records of the Federal Bureau of Investigation,1908-1922)などを調査し、コミンテルン、パンアメリカン・エイジェンシーの活動に関する報告書類を探し出し、1,000枚におよぶコピーを持ち帰った。そのうち約半分ほど分析し終え、根本史料の編集作業の進捗とともに、エイジェンシーの活動実態およびそのアメリカ共産党との関係の解明が可能になりつつある。 2.ワシントンD.C.の議会図書館にモスクワの文書館(ルガスピ)からマイクロフィルムで「里帰り」したアメリカ共産党関係文書(Files of the Communist Party of the USA in the Comintern Archives 1912-1944)を調査し、エイジェンシーの活動との関連性をもつ史料を見つけ、300枚近くのコピーを持ち帰った。同じく約半分ほど分析し終え、アメリカ共産党とエイジェンシーとの関係、とりわけ対立の問題が浮かび上がりつつあり、また、在米ついで在墨片山潜を中心とした在米日本人社会主義団の文書が収録されていることが初めて判明した。 3.外務省外交史料館の内務省警保局関係文書、とりわけ「過激派其他危険主義者取締関係雑件」を再調査し、在米日本人社会主義者団の活動を知る手がかりとなる報告書類を探し出し、マイクロフィルムを作成してもらい、その全史料をプリントのうえ分析し終えた。それらを上記1と2の当事者間の書簡類と照合した結果、日本政府による国外調査内容は信憑性に乏しく、調査能力の限界を露呈するものであったことが判明した。
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