2005 Fiscal Year Annual Research Report
近世近代フランスの子どもと学校-子ども史・学校史におけるフランス的特質の解明-
Project/Area Number |
16520448
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Research Institution | Aichi Prefectural University |
Principal Investigator |
重松 知恵子 愛知県立大学, 外国語学部, 教授 (40187349)
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Keywords | 教育史 / 社会史 / 家族史 |
Research Abstract |
今年度はとりわけ、次のような研究実績をあげることができた。第一は、18世紀フランスの初等学校についてで、一人の教師が書き残した記録をもとに、教師の地位や役割について具体的な検証を行ったことである。この研究の成果は、論文集『国家・共同体・教師の戦略一教師の比較社会史』(松塚俊三・安原義仁編、昭和堂,2006年2月刊行)に掲載されている。また本研究は、従来の教育史では王政期との断絶が言われることの多いフランス革命期の教育政策について連続面を指摘する点に独自性があるが、その革命教育史の分析を生かして次の二つの業績を上げることができた。一つは本研究で行ってきた革命の家族史・子ども史研究を、性文化という観点からとらえ直して執筆した「フランス革命と女性」(若尾祐司・栖原弥生・垂水節子編『革命と性文化』山川出版社、2005年5月刊行)であり、もう一つは革命史の全体的知識を生かして行った翻訳書の刊行(T.C.W.ブラニング著『フランス革命』岩波書店、2005年8月刊行)である。なお、本研究自体はもう最終的まとめの段階であり、『子どもと学校のフランス史』(予定)というタイトルで次のような構成の研究書の刊行をめざしている。この第一章では、初等教育を取り上げ、カトリック普及のために王権と教会によって作られた初等学校の実態と教師のありようや、教師が革命を迎えることのできる村の知識人に変貌するさまを描く。第二章では中等教育を取り上げ、王権による教育への公的介入の実際と限界を具体的な例をあげ検証する。第三章では家庭から学校へというテーマで、近代家族の登場が学校制度をいかに変化させたかを問う。第四章ではフランス革命期の学校と子どもを取り上げ、初等教育制度のあり方、革命期の子ども観、愛国少年伝説の誕生などについて考察し、王政期からの変貌の様子をあとづけながらフランス的特質を明らかにする。
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Research Products
(3 results)