2004 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半のアメリカ合衆国における大量消費社会の成立とジェンダー・人種・階級
Project/Area Number |
16520452
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松本 悠子 中央大学, 文学部, 教授 (30165914)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 消費 / ジェンダー / 人種 / 家政学運動 / 農村 / 近代化 / 国民化 |
Research Abstract |
本年度は、研究実施計画の(1)の家政学運動を中心に研究調査した。夏期休暇を利用して資料収集を行ったが、行き先を変更し、より多く家政学運動の一次資料が集められているコーネル大学を訪問した。コーネル大学ではとくに1920年代の農村の近代化運動に家政学がどのように関わったかを、当時の運動の指導者の資料に基づいて調査することができた。農村の近代化は、農業の近代化とともに農村の家庭の近代化を意味し、家政学を学んだ指導員が各村を回り、農村の女性に近代的生活を実践指導したのである。その際、近代化とは当時急速に普及した家事のための器具、電化製品を使用し、台所の改良をして家事を効率的にすることを意味した。すなわち、農村の女性をとおして、都市と同様の消費行動を促進することによって農村の近代化をはかったのである。ただし、農村の電化は1930年代を待たなければならず、都市の情報は広告、映画、通信販売などによって広まっても、都市的な意味での消費文化はこの時期の農村では、それほど進展しなかったと思われる。換言するならば、消費に関する価値観が農村にも提示されたが、消費をとおしての国民化はあまり浸透しなかったと考えれる。また、わずかではあるが、アフリカ系アメリカ人の農村地域における家政学運動の資料も見ることができ、消費をとおしての近代化の働きかけも隔離されたなかで行われたことがわかった。人種と消費の問題は、来年度の課題である。
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