2006 Fiscal Year Annual Research Report
20世紀前半のアメリカ合衆国における大量消費社会の成立とジェンダー・人種・階級
Project/Area Number |
16520452
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
松本 悠子 中央大学, 文学部, 教授 (30165914)
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Keywords | アメリカ合衆国 / 二〇世紀 / アメリカ化 / ジェンダー / 人種 / 消費 |
Research Abstract |
本年度は、関連文献および新聞や雑誌などのマイクロフィルムによる第一次史料の種集を重点的に行った。これらの資料の分析により、二〇世紀前半のアメリカ合衆国において、アメリカ人である事が「アメリカ的生活様式」や「アメリカ的生活水準」を実践することによって示す事ができるという「アメリカ化」運動が、アメリカの国民である「私たち」と「他者」の境界をどのように作り出したかを、明らかにした。さらに、同時期の排外運動と「アメリカ化」運動が表裏一体の関係にあり、住宅や職場、公共空間における人種隔離は、「私たち」と「他者」の境界を消費をとおしてかしかした事が明らかになった。本年度の成果の発表としては、"Gender and American Citizenship : the Construction of 'Our Nation' in the Early Twentieth Century"において、上記の資料分析の成果をジェンダーの側面からまとめた。本稿では、消費に焦点を置くことによって、参政権を持たない女性が、どのようにシティズンシップのなかで位置づけられ、「国民化」の要となったかを論じた。また、これまでの研究成果をまとめて単著を出版する準備を行った。そのなかでは、人種、ジェンダー、階級の側面から、「私たち」と「他者」の境界がどのようにつくられ、それが消費文化にどのように表されたかを論じるとともに、「他者」とされた側の人々が、その「境界」をどのように理解し、越境しようとしたかを、二〇世紀前半のロサンゼルスを主な舞台として論じた。単著は、平成一九年8月に出版予定である。
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