2004 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期ポーランドにおける政治的シオニズム運動の展開と変容に関する研究
Project/Area Number |
16520458
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
安井 教浩 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科・国際地域文化専攻, 助教授 (10310517)
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Keywords | 現代史 / 政治史 / 民族問題 / 東欧 / ポーランド / ユダヤ人 / シオニズム |
Research Abstract |
両大戦間期ポーランドにおけるシオニズム運動の展開と変容に関する考察を通じて、ポーランドのユダヤ人問題への新たな照射を試みようとする本研究の初年度となる今年、達成された成果は以下の2点に大別できる。 1.戦間期ポーランドにおけるユダヤ人問題の在りようを既定した1919年の経験(ポーランドの独立と領土確定の問題に対する欧米ユダヤ人の対応・ヴェルサイユ講和条約に付随する民族的少数派保護条約の成立・ポーランド国内におけるポグロムの頻発・英米両国政府によるポーランド・ユダヤ人の置かれた状況を調査するための使節団派遣など)についての検討は、本研究にとり、言わば必須の前提とも言うべき課題である。そこで、今年度は、ユダヤ系主要新聞のみならず、ポーランド社会党の機関紙『ロボトニク』(Robotnik)や右派系の主要紙『クーリエル・ヴァルシャフスキ』(Kurier Warszawski)など、およそ1919年におけるユダヤ人問題の様相を把握するのに必要な資料をマイクロフィルムで入手し、この問題についての調査をすすめるともに、その成果の一部を、日本スラブ東欧学会大会(平成16年10月31日)において報告した。 2.平成16年度研究実施計画にしたがい、1920年代における「議会シオニズム」を解明するための基本的資料の入手・整備に努めた。入手しえた資料は、憲法制定議会(1919〜22年)・第一議会(1922〜27年)の議事録のマイクロフィルム、西ガリツィア・シオニストの主要日刊紙である『ノーヴィ・ジェンニク』(Nowy Dziennik)(1918〜26年分)、および東ガリツィア・シオニストの主要日刊紙『フフィーラ』(Chwila)(1919〜29年分)と『ジェンニク・ヴァルシャフスキ』(Dziennik Warszawski)(1927年分)のマイクロフィルムである。 以上の実績により、今後、両大戦間期ポーランドにおけるシオニズム運動を、各地域ごとのシオニストに見られる政治文化や政治的展望の相違などにも配慮しつつ、多層的に把握してゆくための本格的な検討に向けた資料的基盤をある程度まで整えることが出来た。
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