2005 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期ポーランドにおける政治的シオニズム運動の展開と変容に関する研究
Project/Area Number |
16520458
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
安井 教浩 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科・国際地域文化専攻, 助教授 (10310517)
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Keywords | 西洋史 / 現代史 / 議会政治 / 民族問題 / 東欧 / ポーランド / ユダヤ人 / シオニズム |
Research Abstract |
平成17年度研究実施計画に基づき、とりわけ次の2つの課題に関する資料の所在に関する調査とその収集にあたり、本研究の深化をはかることができた。 (1)戦間期ポーランドはじまりの年とも言える1919年の出来事(欧米のユダヤ人による反ポーランド=キャンペーン・ポグロム・講和条約締結・民族的少数派保護条約締結・ポーランド国境の画定など)が、ポーランド・ユダヤ人問題のその後の展開に与えた影響 (2)戦間期ポーランドにおける政治的シオニズム運動の指導者であったレオン・ライヒの思想と行動 まず(1)の課題に関しては、アメリカ合衆国のユダヤ人の動向を無視することができない。そこで、米議会図書館所蔵のハンス・モーゲンソーの日記やヘブライ大学図書館所蔵の『講和会議ユダヤ代表委員会報』(Bulletin du Comite des delegation juives)など、アメリカにおけるボーランド人=ユダヤ人関係、あるいはポーランド国境の画定にも関わる同時代の史料・文献の所在を、アメリカ、ポーランド、イスラエルの各地の図書館に問い合わせつつ、その収集に努めた。そして、それら史料・文献のうち重要なものをマイクロ・複写で入手できたことによって、戦間期ポーランドにおける政治的シオニズム運動がそこから展開してゆく政治的・社会的な前提を理解することができた。 (2)に関しては、まずポーランド独立後におけるレオン・ライヒの思想と行動をより長い歴史的文脈の中で把握する必要があることを認め、今年度は、ポーランド独立以前のオーストリア支配の時期におけるライヒの政治的軌跡を跡付けるための史料の収集に努めた。その結果、『ユダヤ年報』(Rocznik zydowski 1901-06)、『将来』(Przyszlosc 1894-1899)、『東方』(Wschod 1900-1913)という、若きライヒが主要な役割を演じた新聞・雑誌のマイクロを入手できた。さらには、本研究にとり最も価値ある史料と考えられた中央シオニスト文書館(イスラエル)所蔵のレオン・ライヒ文書および東ガリツィア・シオニスト文書を、同文書館責任者より紹介されたアシスタントを通じて、ほぼその全部の複写を入手することができた。史料収集という面に限って言うならば、これは結果的に研究者自ら彼地へ赴くよりも、はるかに安価で、しかも効率的な作業となり、本研究の進展に大いに利するものとなった。
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