2006 Fiscal Year Annual Research Report
両大戦間期ポーランドにおける政治的シオニズム運動の展開と変容に関する研究
Project/Area Number |
16520458
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Research Institution | Nagano Prefectural College |
Principal Investigator |
安井 教浩 長野県短期大学, 多文化コミュニケーション学科国際地域文化専攻, 准教授 (10310517)
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Keywords | 西洋史 / 現代史 / 議会政治 / 民族問題 / 東欧 / ポーランド / ユダヤ人 / シオニズム |
Research Abstract |
戦間期ポーランドにおける政治的シオニズム運動の展開を、その動向に多大な影響を及ぽしたシオニズム指導者レオン・ライヒの役割に光をあてつつ考察し、その特徴を析出しようとする本研究のテーマの場合、肝心のライヒについての研究が、当該国であるポーランドおよびイスラエルにおいてすら十分に進んでいるとは言い難く、また政論家として健筆を振るったライヒの著作の全容すら明らかでないという研究史の実情に鑑みれば、本研究の集大成を行うべき昨年度も、引き続き必要な史料の収集に多くの時間と経費、労力を割かざるをえなかった。 そこで今年度も、本研究にとっての基本史料の収集に努め、シオニスト系の日刊紙『ナーシュ・プシェグロント』(1923〜30年)および『ノーヴィ・ジェンニク』(1927〜30年)、さらにポーランド議会議事録(1928〜30年)を入手した。一方、未刊行史料の収集に関しても、中来シオニスト文書館(イスラエル)所蔵史料のうち、前年度までに入手したライヒ文書および東ガリツィア・シオニスト関連文書と並び、本研究の深化に欠くことのできないグリュンバウム文書(史料番号127)の収集を、前年度同様、在イェルサレムのリサーチ・アシスタントを通じて行った。ただし同文書の場合、前記の2文書に比べてファイル数が膨大であるうえに(600ファイル以上)、本研究にとっては直接の対象とはしない時期やテーマのファイルも多数あるため、上記アシスタントにヘブライ語のカタログの英訳を依頼し、英訳されたカタログを用いてファイルの選定を行った。昨年度収集した分も合わせて、中央シオニスト文書館から取り寄せた史料には、シオニスト間での議論や連絡を跡付けることの出来る材料が多数含まれており、新聞や議事録等の刊行史料からは窺い知ることの出来ない、シオニスト内部の動向についてもなりの程度まで解明することを可能にしてくれた。 重要な史料として未見のまま残っていたのが、リヴィウ市(ウクライナ)に所在する国立中央歴史文書館所蔵の東ガリツィア・シオニスト関連文書(フォンド番号338)である。しかし、これは1600ファイルにものぼる膨大な史料群であり、しかも各ファイルの内容を窺い知ることのできるカタログの入手も困難であるため、研究者自身が1週間ながらリヴィウ市に滞在し、直接に史料収集にあたった。その結果、ライヒの書簡をはじめとする貴重な史料を複写で入手することに成功し、シオニスト運動をより内在的に検討することが可能となった。また、現地および往復の際に立ち寄ったワルシャワでは、本研究のテーマに詳しいウクライナやポーランドの専門家との交流をはかることができ、上記文書以外にも、本研究を充実させるのに欠かせない新聞・雑誌の所在についてアドヴァイスを得、それらを閲覧することができた。
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Research Products
(2 results)