2005 Fiscal Year Annual Research Report
中国壁画墓との図像学的比較による高句麗古墳壁画の研究
Project/Area Number |
16520467
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
門田 誠一 佛教大学, 文学部, 教授 (00278467)
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Keywords | 高句麗 / 古墳 / 壁画 / 東アジア / 魏晋南北朝 |
Research Abstract |
今年度は、前年度より継続して、高句麗古墳壁画を東アジアの位相の中で位置づけることを目的として研究を行った。そのための作業として、漢代から北朝までの壁画墓・装飾墓が集中的に分布する河南省洛陽周辺および山西省大同にかけて、壁画墓および出土資料等の実地調査を行なった。とくに洛陽においては洛陽古墓博物館、河南省博物館等において、近年の壁画墓に対する豊富な知見を得ることができた。また、北朝代の壁画と同時期であり、壁画の理解に資することの多大な北魏代を中心とした装飾線刻石棺についても実見した。加えて、北朝の墳墓壁画の思想的背景を探るべく、五台山、懸空寺、大同石窟などをはじめとした仏教遺跡や石窟寺院の彫刻などを観察した。 また、昨今、刊行が相次いでいる中国、朝鮮半島の古墳壁画関係の資料集や論文集を収集し、これらを読破しつつ、最新の知見と研究動向を獲得することに努めた。 これらの知見を総合して、二編の論考にまとめるべく、研究を展開した。一編は東アジアにおける魏晋南北朝並行期の墳墓壁画のなかで、本研究テーマに合致する墓主像の描かれた例を集成し、これらに対する研究史を整理しながら、高句麗古墳璧画の特質を明らかにすることを目睹とした。この論考は本年度の研究成果として、下に掲げた論文である。 また、このような総合的かつ包括的な基礎的研究から一歩進んで、璧画の個別具体的な題材や構図のなかで、墓主の社会構成上の属性や階層的位置づけを考察する論考として、(仮題)「高句麗古墳壁画における鎧馬図の考察-鎧馬騎乗人士の階層的位置づけをめぐって-」を脱稿した。今年度内の刊行には適当な媒体がなかったため、来年度以降に論文として刊行する予定である。 以上
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Research Products
(1 results)