2007 Fiscal Year Annual Research Report
中国壁画墓との図像学的比較による高句麗古墳壁画の研究
Project/Area Number |
16520467
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Research Institution | Bukkyo University |
Principal Investigator |
門田 誠一 Bukkyo University, 文学部, 教授 (00278467)
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Keywords | 高句麗 / 壁画 / 古墳 / 墓主像 / 東アジア |
Research Abstract |
本年度は、研究の最終年次にあたり、成果の報告にむけて、総括的な研究を行なった。それにともなう調査として、平成19年8月13日〜23日まで、高句麗の故地である中国遼寧省桓仁および吉林省集安を中心として、壁画古墳と関連遺跡の踏査を行なった。また、遼寧省文物考古研究所および遼寧省博物館では、高句麗関係遺物を主体として、当該地域の関連する時代の遺物の実見を行なった。また、国内調査としては、平成19年12月16日〜17日に別府大学歴史文化総合研究センターにおいて、高句麗古墳壁画の写真および高句麗遺跡出土遺物の熟覧と実見を行なった。今回、日韓の関係機関の協力によって、中国および北朝鮮に所在し、現状では実地調査のできない高句麗古墳壁画を中心として、精細な写真が公開された。これらについて熟覧を行った。また、高句麗遺跡出土土器を主体とした高句麗遺物も公開され、これらについては写真撮影を行なった。両種の資料の実見の結果によって、詳細な図像と遺物の情報が得られた。文献・図書資料に関しては、国内他機関所蔵資料の複写を中心として、収集を行なった。 本年度の成果としては、高句麗古墳壁画の中心的図像である墓主像に対して、構図のなかでも最も重要な要素である塵尾を中心とした論考と高句麗社会には外来文物となる角杯に着目し、この種の外来文物の移入が亡命漢人によってなされたことを示した論考を発表した。本年度の研究成果は、高句麗古墳壁画に対して、同時期の中国の史料と文献記載を用いて、中華世界における士大夫層としての墓主像の認識を提示し、これと初現期の高句麗古墳壁画の墓主像とを相関的に比較した。このような研究方法は、これまで日本だけでなく中国や韓国等でも行なわれることがなく、その意味での独創性を担保している。また、このような方法をとることにより、高句麗古墳壁画を高句麗地域だけでなく、東アジアのなかで相対的に位置づけるという視座を示した。
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Research Products
(2 results)