2005 Fiscal Year Annual Research Report
地方圏におけるビジネスサービス企業の地域的展開とサービス取引
Project/Area Number |
16520489
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Research Institution | Fukuoka University of Education |
Principal Investigator |
石丸 哲史 福岡教育大学, 教育学部, 教授 (50223029)
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Keywords | サービス業 / 地方 / 経営コンサルタント / 地理学 |
Research Abstract |
本年度は,ビジネスサービスの業種が多岐にわたるため対象を限定する必要性が生じ,また知識経済化の進展との関係から,経営コンサルタント業に対象を絞って調査・分析を行った。 まず,昨年度研究対象都市カナダレジャイナとほぼ同じ人口規模である宮崎市について,経営コンサルタントのリストを作成し立地特性を検討した。その結果,税理士など他のビジネスサービスと同時に経営に関するコンサルティングも行っている個人経営のオフィスが目立った。このオフィスは都心部に置くことがなく,SOHO化しており,この傾向は昨年度のカナダ地方都市の場合と同様であった。このカナダ地方都市との差異を明らかにした結果を2006年1月29日福岡地理学会において発表した。 本年度は,ビジネスサービスの供給サイドに関する分析が中心であったので,地方都市の特徴を明らかにすべく,公認経営コンサルタントの全国的な分布を明らかにしカナダ地方都市と比較した。また,佐賀市における経営コンサルタントのリストを作成し,これらの企業の業務活動についてヒアリングなどによって分析を行った。その結果,宮崎市と同様に,経営コンサルタントというよりは,税理士,中小企業診断士,公認会計士,社会保険労務士などが経営に関しても相談にのっている場合が多く,知識主体の経営コンサルティングサービスが成立する基盤がわが国地方都市では乏しく,この点はカナダ地方都市レジャイナと大きく異なっていた。この背景には,顧客側の意識やわが国における知識サービスに対する認識の違いがあり,形式知を商品とするアメリカ型経営コンサルタントに対して,わが国地方都市における経営コンサルティングサービスは,経験主義を重視する日本型経営システムと大きく関わったものであった。この点に関しては,2006年3月28日,日本地理学会において発表した。
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