2006 Fiscal Year Annual Research Report
中国四川農村における市場圏の空間性の実態解明に基づく新たな農村空間論の構築
Project/Area Number |
16520490
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Research Institution | Kobe City University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
小島 泰雄 神戸市外国語大学, 外国学研究所, 助教授 (80234764)
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Keywords | 国際研究者交流 / 中国 / 四川 / 生活空間 / 市場圏 / 市場町 / フィールド調査 / 人文地理学 |
Research Abstract |
本研究課題の最終年度にあたる本年度は、市場圏の農村空間における意味の解明に取り組んだ。とくに市場圏の中心にある"場鎮"(市場町)の歴史地理学的な研究に重点が置かれた。本研究課題の方法論の主体をなすフィールド調査は、2006年12月18日から2007年1月1日にわたって四川省成都市および三台県において、場鎮訪問と図書館・梢案館における資料収集が集中的に行われた。 過年度に収集した資料とあわせて、本年度は総括的な考察を進めた。市場圏は、一般に市場町を中心とした経済活動によって機能的に編成された空間とされるが、四川農村における市場町の歴史地理に着目すると、より多面性をもった生活空間であることがわかった。現在の市場町の発展は郷鎮政府の存在と不可分のものであり、市場圏は中国の近代化の到達点として政治的領域となっている。散居を基本とする四川農村にあって、市場町は社会の焦点をなしており、他の集村地域と異なる意味を持つ。茶館の発達に看取される人的交流あるいは情報結節機能により、市場圏は文化的な等質性を持っている。なお、この概要については、2007年3月に開催された日本地理学会春季学術大会において口頭発表を行った。 市場圏を四川農村において実態的に検討すると同時に、本研究課題は農村空間をめぐる研究について準拠枠の提示を行うことを目標としてきた。この点については次のような見通しを提示した。すなわち、村落が過度に重視される日本的バイアスを指摘すると同時に、生活空間の重層性において市場圏の果たす意味が、フィールドの歴史地理において理解されるべきことである。
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Research Products
(5 results)