2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市空間での祭事・ライブ等の路上活動の状況調査および行政制度との関連に関する研究
Project/Area Number |
16520495
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Research Institution | Kurume National College of Technology |
Principal Investigator |
藤田 雅俊 独立行政法人国立高等専門学校機構, 久留米工業高等専門学校・機械工学科, 助教授 (20342579)
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Keywords | 都市環境 / イベント / 街路 / 社会実験 / 利用規制 / 歩行者空間 / 公共的空間 / 制度 |
Research Abstract |
人が集まり様々な活動を行う都市環境では、それぞれの活動に相応しい施設や装置の建設・製作が必要とされ、そのプロセスとしてデザイン行為が行われている。このプロセスにおいては、活動の目的にあわせた機能性や、場所性、気候環境、あるいは景観やアメニティといった多様な指標が必要とされる。 本研究は、都市の公共的環境における、利用者の空間の利用目的や方法などの実態と、その行為を支援する環境装置のあり方について調査・考察を行うものである。都市における公共的環境では、都市空間利用者の生活スタイルの移行に伴う身の回りの装置の変化や、都市における公共的空間の利用方法の変化に伴い、都市空間のあり方が変容してゆく中で、制度や法規も見直しを余儀なくされている。環境装置のデザインは、ある一定の時間的制度的条件の中でこそ、その機能や形態が効果的に実体化されると仮定できる。 都市における時間的制度的条件のケースの一つとして、イベントを上げることができる。公共的空間でのイベントは、交通を目的とした街路や、移動手段への乗降を目的とした駅や駅前広場などにおいて、通常の利用方法とは異なる変則的な行為・活動を行うものである。本論では、国土交通省の社会実験制度(オープンカフェ等地域主体の道路活動)を活用し今回は2004年11月に実施された、福岡市の天神社会実験・天神ピクニック(憩いと魅力の道路文化創造社会実験)『TENJIN PICNIC』の3つのプロジェクトの内、西鉄天神駅に接続するサザン通り周辺を歩行者天国化し、街路空間内の駐輪を全面禁止し、通常時の駐輪ポストを利用した休憩スポットや、仮設的に設置したテーブルセットをオープンカフェとして解放し、来街者に街路等の公共的空間での非日常的な利用を促した「アメニティプロジェクト」を対象とし、利用者意識の対面形式によるアンケートを行った。 今回の調査から、都市の街路空間への多様な利用に関する意見を読み取ることができる。都市における街路空間は、移動のための空間から、人と人とのコミュニケーションの場、そこで過ごす時間を楽しむための場として認識されており、空間利用の目的や方法にあわせた環境装置のありようを考える上での重要な示唆となった。 平成5年の道路法施行令改正により、道路管理者が設ける上屋やベンチは道路付属物として扱われるようになり、道路での行為についての解釈が広がった。また今回行われた社会実験では、街路に沿道の空間を含めた公共的環境での人々の活動・行為に相応しい制度や整備方法・運用方法を探るきっかけになるものである。 不特定多数の人々が利用する空間である街路や都市の空間は、そこでの活動や行為、利用者の意識、利用する設備や装置によって変化し続けると考えられる。都市の公共的空間は、街路を含め、移動をはじめとした多様な行為・活動の場として使われている。社会実験『TENJIN PICNIC』は、街路を中心に、都市の公共的空間での多様な利用法と、それを実現するための課題を明らかにした。
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