2004 Fiscal Year Annual Research Report
生活改善運動を要因とした関東山地及び周辺地域の居住習俗変化の実証的研究
Project/Area Number |
16520503
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Research Institution | Yamaguchi University |
Principal Investigator |
坪郷 英彦 山口大学, 人文学部, 教授 (70207439)
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Keywords | 生活改善 / 青年団 / 4Hクラブ / 台所改善 / 村の共有財産 / 居住習俗 / 関東山地 / 養蚕 |
Research Abstract |
秩父郡小鹿野町、秩父市、児玉郡児玉町、東京都八王子市において、生活改善運動と居住習俗の関連調査を行った。小鹿野町では馬上地区を対象とし、来年度予定の重点的調査のための調整を行い、現状の住宅調査と生活改善での変更点調査を行うことの了解を得た。また、第二次大戦後の青年団活動や4Hクラブの活動について聞き取り調査を行い、活動を背後から援助した資産家があり、特に資金援助等の経済面で力のあったことが明らかとなった。 秩父市では大滝村滝沢ダムのため移転したインフォマントから聞き取りを行い、かつて筆者が調査を行った移転前の住宅について生活改善の具体的内容を明らかにすることが出来た。生活改善のモデル地区としてメディアにもとりあげられており、生活改善の一つの典型として事例を収集することが出来た。 児玉郡児玉町は明治から昭和初期にかけて大規模に養蚕が行われたところであり、住居自体及び生活改善の内容を秩父郡と比較する意味で採りあげた。安定した農家経営があり、青年団の役割や新しい生活への意識に秩父郡と違う側面が見いだされた。より個別的であり、青年団等の年齢構成的なまとまりは弱かった傾向が見られる。 東京都八王子市では小津地区を対象として調査を行った。大正時代から積極的に新しい村づくりを進めたところであり、村の資産家がリーダーシップをとっていた。この地区の特徴として村の共有山林があり、その運用にあたって村の合議が優先され、共有林から生み出される資金が積極的な村づくりのための潤滑油となっていたことが明らかになった。 いずれの調査地も、調査研究に対する地元理解が得られ、調査すべきデータの所在が明らかになった。来年度から、地元教育委員会と密接な連絡をとりながら、個人情報等に配慮し具体的な調査を進めていく。
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