2004 Fiscal Year Annual Research Report
都市祭礼における造り物(山車類)の多様性に関する民俗学的調査研究
Project/Area Number |
16520507
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
福原 敏男 日本女子大学, 人間社会学部, 教授 (20156805)
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Keywords | 山車 / 祭礼風流 / 練り / 山 / 鉾 / 傘鉾 / 祇園祭 / 人形山車 |
Research Abstract |
平成16年度は「練りの祭」「鉾の祭」を重点的に文献、絵画資料調査および参与観察を行った。京都葵祭りの調査においては、従来、風流史的観点からすると牛車の風流のみが注目されていたが、今回は傘鉾制作の聞き書き、傘鉾の巡行状況の参与観察を実施した。やすらい祭りの傘鉾などとともに、祭礼史における傘鉾源流の事例として非常に重要である点を確認することができた。広島県福山市立福山城博物館、市立市民図書館が所蔵する、福山左義長絵巻を写真撮影し、左義長の造型の多様性について調査することができた。また、関連の近世年中行事史料も撮影した。この調査によって、中国地方城下町祭礼、特に総町祭礼の一典型である福山左義長研究の基礎資料を把握することが可能となった。従来、『諸国風俗問状答』の挿絵で有名であった左義長の全体像、近世末から近代への展開について考察することができた。京都府石清水八幡宮の放生会における、紙製神饌の調査を行った。現在は京都市の和紙染織作家が奉納しているが、前近代における神饌の諸資料について調査を行った。北陸地方の祭礼つくり物が出る祭礼として、鶴来町のほうらい祭の聞き書き調査を実施し、北陸に点在するつくり物の一拠点として、白山信仰のお膝元である鶴来の事例を位置付けることができた。京都国立博物館において祇園祭礼図屏風の熟覧調査を実施した。山鉾のみではなく、練物の行列もつぶさに描かれており、文献と照合することによって近世祇園祭の様相を明らかにすることができた。祇園祭に関しては、研究史上、中世末までの研究が盛んであり、近世祇園祭の解明はこれからであり、本屏風を基礎資料と位置付けることが可能となった。名古屋市立博物館において、名古屋東照宮祭礼図の熟覧調査を実施し、東海地方の人形山車祭礼の拠点と推定した。
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Research Products
(5 results)