2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16520511
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Research Institution | Waseda University |
Principal Investigator |
和田 修 早稲田大学, 文学学術院, 助教授 (20240541)
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Keywords | 民俗芸能 / 都市芸能 / 風流踊 / 拍物 / 太鼓踊 / 盆踊 / 人形浄瑠璃 / 文弥節 |
Research Abstract |
(1)初期歌舞伎の舞踊 8月の旧盆の時期に九州の風流踊の調査を行った。具体的には、鹿児島県屋久島において、現行6箇所の盆踊を調査し、聞書の作成、映像記録を行った。これらは鹿児島に多く分布する太鼓踊・棒踊などの風流芸能の影響を受けたものもあるが、県内には類例のないものもあり、大坂・京都などの中央で行われていた芸能が、薩摩藩領を経由せずにもたらされた可能性もある。その中でも、近世後期の歌謡を多く用いるものと、近世初期歌謡を用いるものとがあり、とくに楠川の盆踊は比較的古態を留めるとみられ、注目される。なお、種子島の西之本国寺盆踊および十島村口之島・中之島の盆踊も調査する予定だったが、台風のため到達することができなかった。従来から毎年調査を続けている長崎県対馬の盆踊については、2006年度も継続して調査した。 (2)古浄瑠璃人形 A.新潟県佐渡市において、近年あまり上演されなくなっている曲について、古風な遣い方を現在に伝えている真野真明座の川野名孝夫氏に演じてもらい、デジタル記録を行った。2006年度はとくに近松初期作品を中心に記録を行い、義太夫正本・加賀掾正本・角太夫正本との比較など行った。その結果、角太夫正本が残るものについては、それによっているが、角太夫正本が残らない曲は、義太夫正本ではなく、加賀掾正本によっていることが確認できた。金沢の金八板との関連も含め、佐渡への伝来経路を考える上での指標になると思われる。 B.鹿児島県薩摩川内市(旧東郷町)の文弥人形について、現状確認を行うとともに、1940年代のことを記憶されている木場岩利氏(保存会長)から、民俗的背景について聞き取り調査を行った。また佐渡の文弥節の語り方との比較も行った。音楽学的な採譜という形では明瞭な関係は認められないものの、いくつかの節付に他箇所の文弥節や義太夫節とは異なる類似性は指摘できることを確認した。
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