2004 Fiscal Year Annual Research Report
東南アジア・オセアニア地域における呪術的諸実践と概念枠組に関する文化人類学的研究
Project/Area Number |
16520512
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
川田 牧人 中京大学, 社会学部, 助教授 (30260110)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関 一敏 九州大学, 大学院・人間環境学研究院, 教授 (50179321)
白川 千尋 新潟大学, 人文学部, 助教授 (60319994)
津村 文彦 福井県立大学, 学術情報センター, 講師 (40363882)
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Keywords | 呪術 / 医療 / 合理性 / モダニティ論 / 因果論 / 科学 |
Research Abstract |
平成16年度は、研究代表者ならびに分担者が各研究テーマに沿った文献収集を中心に活動をすすめ、全体での研究会を3回(第1回=6月12日、第2回=11月13・14日、第3回=2月19・20日)開催し、文献研究の経過報告と相互検討をおこなった。また当初予定していた海外短期調査を特定テーマの国内研究会に振り替えて、集中的な議論が必要な主題を焦点化させた。その詳細は以下の通りである。 第1回研究会では、研究全体の見取図として、川田が呪術研究における観念的次元から社会的次元、またことばから身体への視点の移行を概括し、呪術的諸実践を捉える新たな視角として医療に特化しない科学的知識、またモダニティ論以降の問題設定をおこなった。続いて第2回研究会では、関が専門用語化される以前の事実的諸実践を示すことばを捉える試みを、模倣や類比、見立てなどの検討を通しておこなった。話題提供者として参加した東はフィリピン・パナイ島の事例によって、呪術的な想像力を合理性の枠内に閉じこめることなくして理解するための他者論を考究した。そして第3回研究会において、白川はヴァヌアツ・トンゴア島における安息日再臨派キリスト教徒をとりあげ、彼らがきわめて近代主義的科学観にたちながらも、呪術と科学の領域が曖昧な境界に呪術のリアリティが発現する可能性を指摘した。話題提供者の行木はニューギニア高地・オクサプミンにおける呪物の事例から、不思議な出来事が原因としても結果としても語られない、いわゆる反因果論的呪術論の可能性を提示した。 これらの研究会から合理性や因果論の重要性が確認されたため、アフリカ研究者もまじえて、近年の合理性論争を扱った論集(Beyond Rationalism)を土台として、近代的合理主義ならびに科学的因果論の再検討をおこない、研究対象地域の限定を超えた共通言語の追究をおこなった。
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Research Products
(4 results)