2005 Fiscal Year Annual Research Report
ポスト社会主義の法システム形成における国際的文脈-ポーランドとロシアの比較研究
Project/Area Number |
16530002
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
小森田 秋夫 東京大学, 社会科学研究所, 教授 (30103906)
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Keywords | ポーランド法 / ポスト社会主義の憲法 / ポスト社会主義の社会保障法 / ジェンダーと法 / EUの東方拡大 |
Research Abstract |
1.比較の対象となる2つの国のうち、ポーランドにおいて資料蒐集および聴き取りを行なった(ポーランド科学アカデミー法学研究所、憲法法廷ほか)。また、中央アジアを中心とし、ポーランド・ロシアの憲法裁判所裁判官も出席した体制移行国における違憲審査制についてのシンポジウム(名古屋および東京で開催)に出席し、討論に参加した。 2.上記の現地調査および文献研究の結果として得ることのできた主な知見は、次のとおりである。 (1)欧州憲法条約は、条約が直接に規定している論点を超えて、欧州の社会=モデル、文化モデル、統合の牽引車である独仏への態度、EU加盟国としてのポーランドのふるまい方など、加盟への過程においては正面から論じられることのなかった諸問題をめぐる議論を誘発し、憲法条約をめぐる政府間交渉にさいしての与野党一致した態度という外見にもかかわらず、ポーランド社会が一枚岩ではないことを明るみにだした。 (2)人権の領域における西欧の影響とポーランドの「伝統」との間の葛藤を表わすものとして、同性愛者の権利をめぐる問題が浮上し、立法的・司法的な争点となるとともに、2005年秋に成立した新政権による憲法法廷批判の一要因となっている。 (3)憲法法廷は、一連の判決において、ポーランドがEU加盟国になる(である)とを踏まえた「親欧州的」憲法解釈を行なっている。ただし、2005年4月には、欧州逮捕状制度を国内法化した刑事訴訟法典に対して、ポーランド市民の国外への引渡しを禁じた憲法に反するとする判決も下しており、ポーランドはこれに対する対応を迫られている。 3.このほか、社会保障法の変化についての分析も継続した。
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Research Products
(2 results)