2004 Fiscal Year Annual Research Report
パーマネンシープランニングに基づく要保護児童の法的保護に関する研究
Project/Area Number |
16530039
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
鈴木 博人 中央大学, 法学部, 教授 (90235995)
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Keywords | 里親 / 里子 / 養子縁組 / 後見 / 職務後見 / 親権 / 監護権 / 親権制度 |
Research Abstract |
本年度は、研究計画の初年度にあたる。今年度の研究の力点は次の点に置いた。まず第一に、わが国における里親制度の実情把握である。要保護児童を保護した場合、保護直後、場合によっては保護する前に当該児童についての処遇計画を立て、実親家庭への復帰を第一順位にすえつつも、それが不可能な場合には、最終的には養子縁組による安定的でかつ永続的な家庭の確保・保障へとつなげていかなくはならない(パーマネンシーの確保)。要保護児童の保護手続きにおいて、多くの国では里親制度が利用されている。これに対して、日本では、里親制度の利用が低調である。そんな中で、要養護児童の託置先として里親の占める割合の高い地域が、川崎市、新潟県、北海道、沖縄県で、これら4地域(自治体)では、里親委託が20%を越える自治体である。北海道、沖縄については、従来、児童相談・一時保護所・施設等が遠隔地にある等の理由が指摘されていた。これに対して、なぜ新潟県での里親への利用度が高いのかについて聞き取りを行った。あわせて、子を虐待する親の家事支援を行っている、民間団体への聞き取りを行った。 次に比較法の対象をドイツ法とする本研究では、ドイツ法の仕組みとその運用、および、ドイツの少年局や家庭裁判所の活動に関する文献研究を行うために、基本文献・資料の収集を行った。 パーマネンシープランニングという考え方にしたがうと、里親制度(里親の法的地位という形で現れる)・養子制度・後見制度の関係をドイツ法上正確に把握し、さらにそれを踏まえて、日本法(特に民法と児童福祉法)上の制度設計や法解釈を展開するのは第2年度以降の課題として残されている。
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