2006 Fiscal Year Annual Research Report
生前贈与と死因処分(高齢化社会での遺産承継に関する法技術)
Project/Area Number |
16530048
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
藤原 正則 北海道大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70190105)
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Keywords | 高齢(化)社会 / 信託的な財産譲渡 / 遺産承継 / 配偶者相続権 / 企業承継 / 予防法学 / 対価的な相続 / 農家相続 |
Research Abstract |
1.本年は、研究成果のまとめの年に当たり、ドイツに関しては従前の研究を総括する内容の検討を行った。具体的には、ドイツの相続制度のみならず、高齢化社会を背景として発展している相続慣行、特に、予防法学的な措置の検討である。すなわち、ベルリン式遺言とそれに付される遺留分条項、ないしは、ヤストロフ条項、再婚条項など、あるいは、先取りした相続による遺産の承継、現実の相続契約の利用方法とそれに付される付款などである。これによって、現在のドイツでの相続慣行の動向をより鮮明に明らかにすることができたと考えている。そこでの、方向性を要約すれば、配偶者相続権の強化、企業承継を目的とする特定相続の実現のための予防法学、対価的な相続慣行とそのための信託的な財産譲渡である(相続契約、先取りした相続)。さらに、高齢社会での生存保障の手段の一環としての、保険契約に関しても一定の検討を行った。 2.以上のドイツ法の動向と同時に、わが国の課題も併せ考察した。その際に本来は、わが国での信託法の改正の動向を十分に考慮した検討を行うべきであろうが、現段階では仮定的な問題の考察にならざるを得ないために、この部分に力点を置くことはできなかった。そこで、反対に、ドイツ法とは違って、民法典が遺産に関する契約、信託的な財産移転を禁じているわが国の法制度の特質を、本研究の視点から明らかにするために、わが国の相続財産の性質を最もよく表現する遺産の移転、特に、債権の相続を中心に考察を加えた。 3.以上のように、本年の研究は、ドイツ法に関しては、最終年度のまとめにふさわしい検討が行えたが、日本法に関しては、検討の端緒をつけたに止まった。
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Research Products
(3 results)