2004 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中東 正文 名古屋大学, 大学院・法学研究科, 助教授 (00237372)
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Keywords | 債務超過 / 組織再編 / M&A / カナダ法 |
Research Abstract |
本研究は、従来は概念法学的な分析がなされてきた債務超過会社の組織再編について、実務の需要も踏まえながら、一段と実践的な理論の構築を目標とするものである。 これまでに刊行されている文献は、必ずしも多くないが、これらをおおよそ収集して、分析をほぼ終えている。また、会社法制の現代化との関係で、債務超過会社の組織再編の可否が議論されるという動きも見られたので、その点についても、文献等を適時に追いかけるように努めた。この作業は、今通常国会で会社法の制定が目指されていることから、今後も続ける必要があると考えている。 実践的な対応を行っている地域として、カナダを研究対象と予定していたところ、ブリティッシュ・コロンビア大学に滞在して、資料等の収集だけではなく、同大学法学部のジャニス・サラ副学部長ら複数名に対してヒアリングを行った。同副学部長は、支払不能法の専門でもあり、質疑や議論をする相手方としては適任であった。 カナダでは、理論的な障害は何らなく、財務状態が悪化した会社を合併等によって救済することは日常的に行われている。この場合、救済側の会社の経営陣の責任が問題となり得ると考えていたが、この点については、議論が十分に熟していないという。監査法人等による企業評価の問題でもあるとされ、今後も研究を継続していきたい。 先頃、ブリティッシュ・コロンビア州会社法が根本的に改正され、昨年から施行されているが、組織再編に関する規定も整備された。同法も、支払不能状態になることは許されないと定めており、これがどのような実務的な意味を持つのか、今後の研究に待ちたい。
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