2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16530054
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
中東 正文 名古屋大学, 大学院法学研究科, 教授 (00237372)
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Keywords | 債務超過 / 組織再編 / M&A / カナダ法 |
Research Abstract |
本研究は、従来は概念法学的な分析がなされてきた債務超過会社の組織再編について、実務の必要性も踏まえながら、一段と実践的な理論の構築を目標とするものである。 従来は、形式的な論理を追いかける傾向が強くかったが、本研究においては、比較法的な検討も踏まえて、より実質的な観点から、債務超過会社の組織再編の可否を検討すべきとの結論に至った。 すなわち、利害関係人の利益が適正に守られる限り、債務超過会社の組織再編を否定する根拠は少ない。独立当事者間の組織再編であれば、当事会社間で真摯な交渉が行われるから、通常は利害関係人の利益が損なわれることはない。他方で、支配・従属会社間の組織再編であっても、支配会社が債務超過の従属会社を組織再編によって救済しようとする場面では、従属会社を単独で評価すると債務超過であっても、支配会社との組織再編によって相乗効果が生まれることが期待できたり、支配会社が従属会社を救済せずに破綻させれば、自らの信用を落とすという損失が救済に必要な額を上回ったりするのが通常である。この点に関する経営陣の判断が適切でなければ、取締役の責任を論じれば足りる。 また、債務超過会社が関係する会社分割の可否は難題であるが、会社法の解釈として、「履行の見込み」が必要と解しつつも、「従前の履行の見込み」があれば足りると解することによって、会社債権者の利益を害することがなく、効率的な組織再編が行われるような解釈を示した。 なお、後掲の論文等のほか、より本格的な分析を行った論文が2つ脱稿済みであるが、所収予定の書物の刊行に至っていない。また、いずれも、組織再編法制の規制緩和という大きな枠組みに本研究課題を位置づけており、実際、この課題は他の大きな諸問題と密接に関係するため、本研究課題を単独で扱う形の論稿には仕上げていない。
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Research Products
(4 results)